ハスキー犬と暮らす日々——食卓から始まる信頼の物語

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初めてハスキー犬を家族に迎えたのは、春の終わりが近づく五月の午後だった。窓から差し込む光が床に斜めの影を落とし、新しく買ったペット用の食器が、まだ使われていない清潔さを保ったままキッチンの隅で静かに光っていた。彼の名前はリョウ。生後三ヶ月の、まだ少し頼りない足取りで歩く子犬だった。

ハスキー犬と暮らすうえで、最初に気をつけなければならないのは食事だ。これは誰もが口を揃えて言うことだが、実際に暮らし始めてみると、その重みが全く違って感じられる。リョウが我が家に来た初日、私は張り切って「ノルディック・ピュア」という北欧風のパッケージが美しいドッグフードを用意していた。評判も良く、栄養バランスも申し分ない。そう信じて疑わなかった。

ところが、リョウは一口も食べなかった。正確には、匂いを嗅いで、顔を背けた。その仕草があまりにも静かで、まるで「違うんだよなあ」とでも言いたげだった。慌てて獣医に連絡し、いくつかのアドバイスをもらった。ハスキー犬は元来、寒冷地で暮らしていた犬種であり、消化器官も独特の適応をしている。脂肪分の多い食事を好むが、逆に穀物の消化は苦手な傾向がある。そして何より、彼らは非常に敏感で、食事に対して頑固なまでのこだわりを持つことがあるという。

それから私は、リョウの食事に対してひとつひとつ丁寧に向き合うようになった。朝の光がまだ柔らかい時間帯に、彼の食器を用意する。フードの匂いを確かめ、温度を指先で確認し、彼の様子を見ながら少しずつ与える。最初の一週間は本当に試行錯誤の連続だった。

ある日の夕方、私がキッチンで夕食の支度をしていると、リョウがそばに寄ってきた。彼はまだ小さかったが、すでにその瞳には野生の名残のような鋭さがあった。私が手にしていた鶏肉の切れ端に興味を示し、鼻をひくひくと動かしている。試しに小さく切って与えてみると、彼は一瞬で平らげた。その瞬間、私は理解した。彼が求めているのは、ただ栄養が満たされることではなく、「食べる喜び」そのものなのだと。

それからというもの、私は彼の食事を単なる作業として扱わなくなった。フードの種類を変え、時にはトッピングを加え、彼の反応を観察する。ハスキー犬は運動量が多いため、エネルギー源となる良質なタンパク質と脂質が不可欠だ。だが同時に、食べ過ぎによる肥満にも注意しなければならない。このバランス感覚が、実は飼い主にとって最も難しい部分かもしれない。

子どもの頃、私は祖母の家で柴犬を飼っていた。その犬は何でも食べる、本当におおらかな性格だった。だから最初、リョウの食へのこだわりに少し戸惑った。けれど今では、それが彼の個性だと思えるようになった。人間だって、好き嫌いがあるのは当たり前だ。犬にだって、それはある。

食事の時間が近づくと、リョウは必ず私のそばに座る。そして、じっと私の手元を見つめる。その視線には期待と信頼が混ざり合っていて、私はいつもその重みを感じる。ある日、うっかり彼の食器を床に置く前に自分のコーヒーカップを持ち上げようとして、カップと食器を一瞬取り違えそうになった。リョウは首を傾げて私を見上げ、「大丈夫?」とでも言いたげな表情をしていた。あの瞬間、少しだけ笑ってしまった自分がいた。

食事を通じて、私たちは少しずつ信頼関係を築いていった。彼が安心して食べられる環境を整えること。それは単に栄養を与えることではなく、彼の心に寄り添うことでもあった。ハスキー犬は独立心が強く、時に頑固だ。だからこそ、日々の小さな積み重ねが大切になる。

今、リョウは健やかに成長している。あの頃の頼りなさはもうなく、堂々とした立ち姿で庭を駆け回る姿は、まるで雪原を走る狼のようだ。けれど食事の時間になると、彼は必ず私のそばに戻ってくる。その習慣は、今も変わらない。

ハスキー犬と暮らすということは、彼らの本能と向き合うことでもある。食事ひとつとっても、それは単なる日常ではなく、信頼を育む大切な時間なのだと、私は学んだ。そしてその学びは、きっとこれからも続いていく。
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