朝の光が窓から差し込んできた瞬間、ベッドの横で待ちかまえていたハスキー犬のルナが、大きな尻尾を振りながら私の顔をペロリと舐めてきた。その澄んだブルーの瞳は、まるで「今日はいい天気だよ、早く散歩に行こうよ」と語りかけているようだった。カーテンを開けると、予想通り雲ひとつない青空が広がっていて、思わず「今日は最高の散歩日和だね」とルナに声をかけた。
ハスキー犬という犬種は、もともと寒冷地で生まれた働き者の犬だ。そのため運動量が多く、毎日の散歩は欠かせない。ルナを家族に迎えてから、私の生活は一変した。以前は休日になると昼過ぎまで寝ていることも多かったが、今では朝の散歩が日課となり、規則正しい生活リズムが身についた。不思議なもので、最初は義務感から始めた朝の散歩が、今では一日の中で最も楽しみな時間になっている。
リードを手に取ると、ルナは玄関へと駆けていった。その後ろ姿を見ながら、私も急いで散歩の準備を整える。ハスキー犬特有のふさふさとした被毛が朝日に照らされて、銀色に輝いている。外に出ると、春の爽やかな風が頬を撫でていった。気温は少し肌寒いくらいで、ハスキー犬にとっては最適な気候だ。ルナの足取りも心なしか軽やかに見える。
いつもの散歩コースは、家から徒歩十分ほどの公園を経由して、川沿いの遊歩道を歩くルートだ。この時間帯は犬の散歩をしている人が多く、ルナも他の犬たちと挨拶を交わしながら歩いていく。ハスキー犬は社交的な性格の子が多いと聞いていたが、ルナもまさにその通りで、すれ違う犬たちに興味津々だ。特に同じくらいの大きさの犬を見つけると、尻尾を大きく振って喜びを表現する。
公園に到着すると、芝生の上で少し自由に走らせてあげることにした。リードを外すと、ルナは嬉しそうに駆け出していく。ハスキー犬の走る姿は本当に美しい。力強い足取りで地面を蹴り、風を切って走る姿は、まるで野生の狼のようだ。いい天気の下で思い切り走り回るルナを見ていると、こちらまで元気をもらえる気がする。
しばらく走り回った後、ルナは私のところに戻ってきて、舌を出しながら嬉しそうに見上げてきた。水筒から持参した水を器に注いであげると、ゴクゴクと勢いよく飲み始める。ハスキー犬は体温調節が苦手な犬種なので、散歩中の水分補給は特に大切だ。たとえいい天気で気持ちが良くても、犬の体調管理には常に気を配る必要がある。
水分補給を終えると、再び散歩を再開した。川沿いの遊歩道に入ると、キラキラと水面が太陽の光を反射していて、とても綺麗だった。この景色を見るたびに、ルナと一緒に散歩できることの幸せを実感する。都会の喧騒から少し離れたこの場所は、私たちにとって特別な癒しの空間だ。
途中で出会った年配の女性が、「まあ、立派なハスキー犬ね。目がとても綺麗」と声をかけてくれた。ルナは人懐っこい性格なので、初対面の人にも尻尾を振って挨拶する。こうした何気ない交流も、散歩の楽しみのひとつだ。犬を飼う前は知らなかったが、犬の散歩は人と人とをつなぐコミュニケーションツールにもなっている。
遊歩道を歩きながら、ふとルナを迎えた日のことを思い出した。ペットショップで初めて会ったとき、まだ小さかったルナは私の手のひらをペロペロと舐めてきた。その瞬間、この子と一緒に暮らしたいと強く思ったのを覚えている。あれから三年、ルナは立派な成犬に成長し、今では私の最高のパートナーだ。
散歩の後半、少し疲れてきたのか、ルナの歩くペースがゆっくりになってきた。私もそれに合わせて歩調を緩める。急ぐ必要はない。こうしていい天気の下、ルナと一緒にのんびり歩く時間こそが、何よりも贅沢な時間なのだから。
家に近づくにつれて、ルナは名残惜しそうに何度も振り返った。まだ散歩を続けたいという気持ちが伝わってくる。「また午後に来ようね」と約束すると、ルナは納得したように尻尾を一度大きく振った。
玄関に戻ると、ルナの足を丁寧に拭いてあげる。これも散歩後の大切な日課だ。きれいになったルナは満足そうに水を飲み、お気に入りの場所でゴロンと横になった。その穏やかな表情を見ていると、今日も良い散歩ができたなと実感する。
ハスキー犬との散歩は、ただ犬を運動させるだけの時間ではない。それは絆を深め、お互いの存在を確認し合う大切な時間だ。いい天気の日も、雨の日も、私たちは一緒に歩き続ける。その一歩一歩が、かけがえのない思い出となって積み重なっていくのだ。
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