
愛犬と一緒に遠くへ出かけるとき、車はかけがえのない移動手段になる。とりわけハスキー犬のような大型犬を連れて移動する場合、公共交通機関では制約が多く、車での長距離移動が現実的な選択肢となることが多い。だが、そこには想像以上の配慮と準備が求められる。私自身、愛犬のルナと初めて片道五時間の道のりを走ったとき、それを痛感した。
出発は早朝の六時。まだ薄暗い空気の中で、ルナは後部座席でじっと外を見つめていた。ハスキー犬特有の涼しげな青い瞳が、窓の外を流れる景色に釘付けになっている。彼らは本来、寒冷地で長い距離を走る犬種だ。その身体能力と体力は驚異的だが、それゆえに閉じ込められた空間では強いストレスを感じやすい。特に車内という狭い環境では、彼らの自由を奪うことへの罪悪感が常につきまとう。だからこそ、こちらが最大限の工夫をしなければならない。
まず何より重要なのは、事前の体調管理である。出発前日には激しい運動を控え、当日の朝も軽い散歩程度にとどめる。興奮状態のまま車に乗せてしまうと、落ち着かずに吠え続けたり、車酔いを引き起こしやすくなるからだ。そして出発の二時間前には食事を済ませ、胃が落ち着いた状態で乗車させることが望ましい。ルナの場合、朝食を早めに済ませてから一度排泄を促し、それから車に乗せるというルーティンを守っている。
車内の温度管理も見逃せない。ハスキー犬は厚い被毛を持ち、暑さに非常に弱い。夏場はもちろん、春先や秋口でも車内の温度は予想以上に上がる。エアコンは常に効かせておくべきだが、風が直接当たりすぎないよう、風向きには注意が必要だ。私は後部座席に遮光カーテンを取り付け、直射日光を遮る工夫もしている。また、冷却マットを敷いておくと、犬が自分で体温調整しやすくなる。市販の「クールドッグマット」という商品を使っているが、これがなかなか優秀で、ルナも気に入っているようだ。
休憩のタイミングも慎重に見極める必要がある。一般的には二時間に一度の休憩が推奨されるが、犬の様子を見ながら柔軟に対応するほうが良い。サービスエリアや道の駅では、必ずリードをつけて外に出し、排泄と軽い運動をさせる。ただし、他の利用者への配慮も忘れてはならない。ハスキー犬は見た目の迫力があるため、子どもや犬が苦手な人には怖がられることもある。リードは短く持ち、人混みを避けるよう心がけている。
ある日の休憩中、ルナが給水ボトルから水を飲もうとした瞬間、ちょうど大型トラックが横を通り過ぎた。その風圧でボトルが傾き、ルナの鼻先に水がばしゃりとかかってしまった。驚いた彼女は一瞬固まり、その後ぶるぶると頭を振って水を飛ばした。周囲にいた家族連れが笑いをこらえている様子が見えて、私も思わず苦笑いしてしまった。ルナ自身はいたって真面目な顔をしていたのだが、その真剣さがかえって可笑しかった。
車内での固定方法にも工夫が必要だ。ハスキー犬のような大型犬は、急ブレーキ時に前方へ飛び出す危険性がある。専用のドッグシートベルトやクレートを使用することで、安全性を高めることができる。私はクレート派で、ルナには普段から慣れさせているため、車内でも落ち着いて過ごせる。クレートの中には、彼女の匂いがついた毛布を敷いている。これは子どもの頃に母がよく言っていた「慣れた匂いがあると安心する」という言葉を思い出してのことだ。
音にも配慮している。ハスキー犬は音に敏感で、特にサイレンや大きなエンジン音に反応しやすい。車内では静かな音楽を流すか、無音にしておくほうが落ち着く。私はクラシックの穏やかな曲を小さな音量でかけることが多い。ルナがうとうとし始めると、それが成功のサインだ。
長距離移動では、到着後のケアも大切である。車から降りたら、まずゆっくりと歩かせて体をほぐす。筋肉が固まっているため、急に走らせると怪我の原因になる。そして水分補給と排泄を促し、落ち着いた環境で休ませる。ルナの場合、到着後は必ず三十分ほど静かな場所で休憩させてから、次の行動に移るようにしている。
遠距離移動は、犬にとっても飼い主にとっても負担の大きい行為だ。しかし、それを乗り越えた先には、新しい景色や体験が待っている。ルナと一緒に見た海、山、湖。それらはすべて、移動という試練を経て得られた宝物だ。彼女の青い瞳に映る景色が、少しでも美しいものであるように。そう願いながら、私は今日もハンドルを握る。
#ハスキー犬
#犬好きな人と繋がりたい
#わんこと遊ぶ
#友達と休日
#犬のいる暮らし
#ハスキーのいる生活
#犬とお出かけ
#もふもふ時間
#仲良しグループ
#癒しのひととき
#日刊ブログメーカー

コメント