ハスキー犬と過ごす、穏やかな午後の物語

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窓の外では、十一月の午後の光が斜めに差し込んでいた。リビングの床に寝そべっているハスキー犬のルナは、時折ピクリと耳を動かしながら、うたた寝をしている。その横で、三歳になったばかりの息子が、色鉛筆を握りしめながら何やら描いている。主人は仕事部屋でリモート会議中だ。私は、キッチンカウンターに肘をついて、その光景をぼんやりと眺めていた。

ハスキー犬を家族に迎えると決めたとき、正直なところ不安がなかったわけではない。体が大きい。運動量が多い。そして何より、あの鋭い目つき。写真で見るたび、どこか野性味があって、小さな子どもがいる家庭で本当に大丈夫なのだろうかと何度も考えた。だが実際に暮らし始めてみると、ルナはその見た目とは裏腹に、驚くほど穏やかで人懐こい性格をしていた。

息子がルナの尻尾をぎゅっと掴んだ瞬間、私は思わず息を呑んだ。けれどもルナは、ゆっくりと振り返り、まるで「またか」とでも言いたげに、鼻先で息子の頬をふっと撫でた。それだけだ。怒ることもなければ、逃げることもない。ただそこにいて、受け入れている。その姿に、私はいつも心の奥がじんわりと温かくなるのを感じる。

子どもの頃、私は犬が怖かった。近所に住んでいた柴犬に吠えられたことがきっかけで、犬という存在そのものに距離を置いていた時期があった。だから今、こうして自分の家にハスキーがいるという現実が、どこか不思議でもある。けれども、ルナが家にやってきてから、私の中で何かが少しずつ変わっていった。犬は怖いものではなく、共に暮らす家族なのだと、ようやく実感できるようになったのだ。

主人がリビングに戻ってきたのは、ちょうど息子が床に寝転がり始めた頃だった。彼はカップを二つ持っていて、片方を私に差し出そうとした。が、ルナが立ち上がった瞬間、尻尾が主人の手に当たり、カップが少し傾いた。慌てて持ち直す主人を見て、私は思わず吹き出してしまった。ルナは何も気づいていない様子で、そのまま玄関の方へ歩いていく。主人は肩をすくめながら、「まあ、いつものことだな」と苦笑した。

ハスキーを飼うということは、確かに大変な面もある。散歩の時間は長く、夏場の暑さには特に注意が必要だ。抜け毛も多い。掃除機をかける頻度は以前の倍以上になった。それでも、彼らがもたらしてくれる安心感や、家の中に流れる穏やかな空気は、そのすべてを補って余りあるものだと思う。

夕方になると、ルナは必ず玄関の前で座って待つ。散歩の時間を知っているのだ。リードを手にした主人を見ると、尻尾を大きく振りながら、まるで子どものようにはしゃぐ。その姿を見るたびに、息子も「ルナ、いってらっしゃい!」と叫ぶ。そしてルナは、必ず一度振り返って、私たちの方を見てから出かけていく。

ある雑誌で読んだのだが、北欧のインテリアブランド「フィルマ・ノルディカ」が提唱する”家族と犬が共に過ごす空間づくり”という考え方がある。それは、犬を単なるペットとしてではなく、暮らしの一部として捉え、共に呼吸するような関係性を築くというものだ。私たちの家は、まさにそんな空間になりつつあるのかもしれない。

夜、息子を寝かしつけた後、私はリビングに戻る。ルナは、ソファの前で丸くなって眠っている。その寝息は規則正しく、部屋全体に静けさをもたらしていた。主人は本を読んでいて、ページをめくる音だけが微かに響く。私はそっとルナの背中に手を置いた。温かくて、柔らかくて、確かにそこにいる。

ハスキー犬は、見た目の印象とは異なり、とても優しい。人を信頼し、家族を守ろうとする。そして何より、子どもに対しても驚くほど寛容だ。もしこれからハスキーを迎えようと考えている人がいるなら、私は自信を持って言える。彼らは、あなたの家族に穏やかな時間を運んでくれるだろう。不安よりも、きっと安心の方が大きくなるはずだ。

窓の外では、すっかり暗くなった空に星が瞬いている。ルナの耳がまた少し動いた。きっと夢を見ているのだろう。どんな夢を見ているのかはわからないけれど、きっと幸せな夢に違いない。そう思えるほどに、彼女の表情は穏やかだった。
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