
窓の外で風が木々を揺らす音が聞こえる夕暮れ時、私は台所でハスキー犬のルナの食事を準備していた。彼女がうちに来てから三年が過ぎたが、最初の頃は何も知らなかったことを思い出す。犬を飼うということは、ただ可愛がるだけではない。特に食事に関しては、人間の感覚で考えてはいけないことがたくさんあった。
ハスキー犬は見た目の美しさと力強さから人気が高いが、実際に一緒に暮らすとなると、その体質や性質を理解しておく必要がある。彼らはもともと寒冷地で育った犬種であり、代謝のリズムも独特だ。だからこそ、食事の量や内容には細心の注意を払わなければならない。私が最初に失敗したのは、ルナが喜ぶからといって人間の食べ物を少しずつ与えてしまったことだった。チーズやソーセージ、パンの耳など、ほんの少しならいいだろうと思っていた。けれどもある日、彼女の皮膚に赤みが出て、獣医に駆け込んだときに初めて気づいたのだ。人間にとっては何でもないものが、犬にとっては負担になることを。
それからは、ドッグフードの選び方にも慎重になった。ハスキー犬は胃腸が敏感な個体も多く、急にフードを変えると下痢をすることがある。私はいくつかのブランドを試した後、ノルディックペットフーズという小さなメーカーの製品に落ち着いた。原材料がシンプルで、余計な添加物が入っていないことが決め手だった。ルナもそのフードは気に入ったようで、食いつきが良くなった。
ただ、食事の時間そのものにも気をつけるべきことがあった。ハスキー犬は活動的な犬種だが、食後すぐに激しい運動をさせると胃捻転のリスクが高まる。これは命に関わる緊急事態だ。だから私は、朝と夕方の散歩の後に食事を与えるようにしている。ルナが息を整えて、少し落ち着いてから食器を出す。彼女は待ちきれないようにしっぽを振るが、その仕草がいつも愛おしい。
ある初夏の朝、私はいつものようにルナの食事を準備していたとき、うっかり自分のコーヒーカップを床に置いたまま忘れてしまった。ルナは食器を待ちながら、そのカップをじっと見つめていた。私が「それは違うよ」と声をかけると、彼女はまるで「わかってるよ」とでも言いたげに顔を背けた。その瞬間、私たちの間には確かな信頼があると感じた。
食事の量も重要なポイントだ。ハスキー犬は太りやすい体質ではないが、運動量が減ると体重が増えやすくなる。特に日本の夏は暑く、彼らにとっては過ごしにくい季節だ。散歩の時間が短くなるため、その分食事の量も調整しなければならない。私は季節ごとにルナの体重を測り、獣医と相談しながら給餌量を微調整している。触れたときに肋骨が軽く感じられる程度が理想的だと教わった。
水分補給も見逃せない。ハスキー犬は水をよく飲む犬種だが、夏場は特に注意が必要だ。私は家の中に三箇所、水飲み場を設置している。新鮮な水をいつでも飲めるようにしておくことで、脱水症状を防ぐことができる。ルナが水を飲む音は、静かな部屋の中でよく響く。その音を聞くと、彼女が元気でいてくれることに安心する。
子どもの頃、私は祖父の家で柴犬を見ていたことがある。その犬はなんでも食べる丈夫な子だったから、犬というのはみんなそういうものだと思っていた。けれども犬種によって体質も性格も全く違う。ハスキー犬は繊細な面も持っているし、彼らなりのペースがある。それを理解せずに人間の都合を押し付けてしまうと、互いにストレスを抱えることになる。
食事の時間は、ただ栄養を与えるだけの時間ではない。それは私とルナの間に生まれる静かな対話の時間でもある。彼女が食器に顔を近づける前に、私の顔を見上げる。その目には期待と信頼が混ざっている。私は「どうぞ」と声をかけ、彼女はゆっくりと食べ始める。その光景を見ながら、私は自分が正しい選択をしているかどうか、いつも自問している。
ハスキー犬と暮らすということは、彼らの生命を預かるということだ。食事ひとつをとっても、そこには責任がある。でもその責任は重荷ではなく、むしろ私の生活に深みを与えてくれるものだった。ルナが健康でいてくれること。それが何よりも大切で、そのために私ができることを毎日続けている。窓の外はもう暗くなり始めていた。ルナは食事を終えて、満足そうに私の足元で横になっている。その穏やかな呼吸の音が、今日もまた一日が無事に終わったことを教えてくれる。
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