ハスキーと暮らす日々——食卓と散歩道で知った、大切なこと

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初めてハスキー犬を迎えた日のことを、今でも鮮明に思い出す。春の終わりの、少し湿った空気が漂う午後だった。玄関先で尻尾を振る彼の姿を見たとき、私は「この子との生活が始まるんだ」という実感よりも先に、その瞳の深い青さに見惚れていた。そして同時に、どこか不安も抱えていた。ハスキー犬は美しいけれど、飼うのが難しいとよく聞いていたからだ。

一緒に暮らし始めてすぐに気づいたのは、食事に関する配慮が思った以上に重要だということだった。ハスキーは胃腸が敏感な子が多い。私の家にやってきた彼も例外ではなく、最初の一週間は何を食べさせても下痢気味で、獣医に相談しながら試行錯誤を繰り返した。市販のドッグフードでも、合うものと合わないものがはっきりと分かれる。ある日、友人が勧めてくれた「ノルディックウェル」というブランドのフードに切り替えたところ、ようやく便の状態が安定した。それからは毎日、決まった時間に決まった量を与えることを徹底している。

食事の時間になると、彼はキッチンの入り口でじっと座って待っている。その姿勢がまた律儀で、まるで礼儀正しい客人のようだ。私がフードボウルを床に置くと、一度だけ私の顔を見上げてから食べ始める。その仕草がいつも愛おしくて、思わず頭を撫でてしまう。ただし、人間の食べ物には絶対に手を出させない。ハスキーは好奇心が強く、テーブルの上に置いたものにも興味を示すが、玉ねぎやチョコレートなど、犬にとって危険な食材は意外と多い。うっかり床に落としたものを拾い食いされないよう、常に気を張っている。

そして食事以上に気をつけなければならないのが、運動量の確保だ。ハスキーはもともとソリを引く犬種であり、その体には膨大なエネルギーが蓄えられている。散歩は朝夕の二回、それぞれ最低でも一時間は必要だった。最初の頃、私は三十分程度で済ませようとしていたが、彼の表情が明らかに物足りなさそうで、家に帰ってからもソワソワと落ち着かない様子だった。それからは早朝五時に起きて、まだ薄暗い公園を一緒に歩くようになった。夏の朝は特に心地よく、空気がひんやりとして草の香りが濃い。彼も涼しい時間帯のほうが調子がいいようで、軽快に駆け回る姿を見ていると、こちらまで元気をもらえる。

ある朝、散歩の途中で小学生の頃に住んでいた街の匂いを思い出したことがあった。朝露に濡れたアスファルトと、誰かの家から漂ってくる味噌汁の匂い。それが混ざり合って、懐かしい記憶が一気に蘇ってきた。子どもの頃、私は祖父の家で柴犬を飼っていた。その犬もまた、散歩が大好きで、リードを見せるだけで喜んで飛び跳ねていた。ハスキーと柴犬では性格も体格も違うけれど、犬と暮らすという営みの根っこには共通したものがあるのかもしれない。

気温の管理も欠かせない。ハスキーは寒冷地出身の犬種だから、日本の夏は本当に辛い。エアコンは常に稼働させ、室温は二十五度以下に保つようにしている。それでも真夏の昼間は、彼は床にべったりと寝そべって動かない。冷却マットを敷いてやると、そこに陣取って気持ちよさそうに目を細める。逆に冬は元気いっぱいで、雪が降った日には庭で転げ回って遊んでいた。その姿を見て、ああ、この子はやっぱり雪国の血を引いているんだなと実感した。

ところで、一度だけ笑ってしまった出来事がある。ある夕方、私がソファでうとうとしていたとき、ふと目を覚ますと、彼が私の膝の上に顔を乗せていた。重い。しかも、よく見ると彼もうとうとしている。ハスキーの顔は大きいので、膝の上に乗せられると結構な圧迫感がある。でも起こすのも可哀想で、そのまま十分ほど我慢していた。足が痺れかけた頃、ようやく彼が目を覚まし、何事もなかったかのように立ち去っていった。あの重さと、彼ののんきな表情は今でも忘れられない。

一緒に暮らすということは、相手のリズムに合わせることでもある。ハスキーは頑固なところもあって、自分のペースを崩されるのを嫌う。無理に従わせようとすると、かえって関係がぎくしゃくしてしまう。だから私は、彼の様子をよく観察しながら、少しずつ歩み寄るようにしている。それは人間同士の関係にも似ているかもしれない。

今、窓の外では夕焼けが空をオレンジ色に染めている。もうすぐ散歩の時間だ。彼はすでに玄関の前で待っていて、私の顔を見るたびに尻尾を振る。その姿を見ていると、この生活を選んでよかったと心から思う。ハスキーと暮らすことは確かに大変だけれど、それ以上に豊かで、温かい日々を与えてくれる。
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