ハスキー犬を車に乗せて遠出したら、想像の斜め上をいく展開になった話

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愛犬を車に乗せて遠出するって、最初は軽い気持ちだった。

うちのハスキー犬、名前はルナっていうんだけど、この子を連れて片道4時間の実家に帰ることになったのが去年の秋口。電車だと乗り換えが面倒だし、ペットOKの特急も予約がいっぱいで。「車なら自由だし、途中で休憩もできるじゃん」って、むしろ楽しみにしてたんだよね。出発は早朝5時。まだ薄暗い中、後部座席にドッグシートを敷いて、ルナを乗せた瞬間、彼女の目がキラキラしてた。「冒険だ!」って顔してる。可愛い。

最初の1時間は順調だった。高速に乗って、窓を少し開けると、ルナは鼻をひくひくさせながら外の匂いを嗅いでる。ハスキーって元々ソリ犬だから、移動自体は好きなんだろうなって思ってた。私も好きな音楽かけて、コーヒーを片手に運転。これ、最高のドライブじゃん?

でも最初のサービスエリアで休憩したあたりから、様子がおかしくなってきた。

車に戻ってエンジンをかけた途端、ルナが「ウォーン…」って低い声で鳴き始めたんだよね。最初は「トイレかな?」と思ってまた降ろしたけど、何もしない。水も飲まない。で、再び車に乗せると、また鳴く。今度はもっと大きな声で。周りの車の人がこっち見てる。気まずい…だけど。

ハスキーの遠吠えって、想像以上に響くんだよ。車内で聞くと、もう映画のワンシーンみたいな迫力。「ア゛ォ゛ーーーン!」って。私の耳が痛い。でも怒れない。だって彼女、不安なんだろうなって。慣れない長距離移動で、もしかしたら車酔いもあるのかもしれない。

そういえば高校生の頃、友達の車で海に行ったとき、私も車酔いして吐きそうになったことあったな。あのときは窓全開にして、ひたすら遠くの景色見てたっけ。ルナにも同じことしてあげようと思って、後部座席の窓を全開にした。秋の冷たい風がバーッと入ってくる。私は寒いけど、ルナは気持ちよさそう。鳴き声、止まった。

よかった、これで解決…と思ったのは甘かった。次のサービスエリアまでの30分間、ルナは窓から顔を出しっぱなし。風圧で耳がペロンペロンになってて、それはそれで面白かったんだけど、問題はそのあと。休憩を終えて再出発したら、今度は「座らない」という新しい問題が発生した。後部座席に立ったまま、前の座席に前足をかけて、ずっと私の肩越しに前方を見てるの。

運転してる私の真横に、でっかいハスキーの顔がある状態。視界の端にずっと犬の横顔。集中できない。「ルナ、座って」って何度も言うんだけど、全然聞かない。彼女なりに「運転手を監視しなきゃ」みたいな使命感があるのかもしれない。ソリ犬の血がそうさせてるのか。知らんけど。

結局、その体勢のまま2時間走った。私の肩に時々、ルナの鼻息がかかる。生温かい。匂いはちょっと獣臭い。でも不思議と嫌じゃなかった。むしろ「一緒に旅してる感」が強くて、変な連帯感みたいなものが生まれてきた。信号待ちのとき、隣の車の人と目が合って、向こうがクスッと笑ってた。恥ずかしいけど、まあ、微笑ましい光景ではあるよね。

実家に着いたのは予定より30分遅れ。母が玄関で待っててくれて、ルナを見るなり「大きくなったねえ!」って。でもルナ、車から降りた瞬間、地面にべったり伏せて動かなくなった。疲れたんだろうな。私も疲れた。4時間の運転、普段ならどうってことないのに、今回はどっと疲労感が。

帰りの運転はもっと大変だった。

往路で学習したのか、ルナは最初から後部座席に立って前方監視モード。もう諦めた。好きにさせることにした。そしたら途中から、私の右耳のあたりに彼女の顎を乗せてくるようになった。重い。でも温かい。そのまま高速を走ってると、ルナの寝息が聞こえてきた。顎を私の肩に乗せたまま、寝てる。

その瞬間、ちょっとだけ「悪くないな」って思った。こんな距離感で一緒に移動するのも、年に一度くらいならアリかもしれない。毎回は無理だけど。

家に着いたとき、ルナは玄関でまた伏せた。今度は本当にぐったりしてて、水を飲ませてもあんまり飲まない。次の日も一日中寝てた。私も筋肉痛になった。肩と首が痛い。

それ以来、長距離移動は極力避けてる。どうしてもってときは、ペットホテルに預けるか、誰かに来てもらうか。車での遠出は、ルナにとっても私にとっても「冒険」すぎた。

でもたまに、あの日の高速道路で、耳元に感じたルナの温かい寝息を思い出すことがある。

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