ハスキーと行く遠距離移動、車の中で気をつけたいこと全部話す

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朝の六時半。まだ空気が少しひんやりしている八月の早朝に、私はトランクにクレートを積み込んでいた。隣では、シベリアンハスキーのアルクが鼻をひくひくさせながら荷物の匂いを確認している。今日はここ「北杜市の自宅」から、九州の友人宅まで向かう遠距離移動の日だ。片道およそ九時間。ハスキー犬との長距離ドライブは、正直なところ、準備の段階からすでに始まっている。

アルクを迎えてから三年が経つ。最初の車乗車は生後二ヶ月のとき、近所の動物病院までの十分間だった。あのときの怯えた顔は今でも覚えている。窓の外に流れる景色が怖かったのか、シートの振動が嫌だったのか、小さな体をぎゅっと丸めてずっと震えていた。
車は早く流れる景色やエンジンの振動、狭い空間など犬にとってストレスがかかりやすい場所だ。
それを知っていたから、私はそれ以来、少しずつ乗車時間を伸ばして慣らしていった。今では助手席の窓から顔を出して風を受けるのが大好きなのだが、それはそれで別の意味で危ない。

走行中に窓を開けて犬の顔を出すのは、見た目はほほえましくても実は危険な行為である。
わかっていても、あの嬉しそうな顔を見ると「少しだけ」と窓を開けてしまう自分がいる。その「少しだけ」が積み重なっていくのが飼い主というものかもしれない。

遠距離移動で特に大切にしているのは、出発前の排泄と、こまめな休憩だ。
パーキングエリアやサービスエリアでのこまめな給水やトイレタイムが大切で、車に慣れていない場合は車酔いで嘔吐や下痢をしてしまうこともある。
ハスキー犬は体が大きい分、車内で動き回るとドライバーの集中力を奪う。
大型犬には後部座席や荷室に敷いて使えるドライブシートや犬用のシートベルトを使えば安心だ。
アルクには愛用のクレートを後部座席に固定している。そのクレートの中には、自宅で使い慣れた毛布を一枚入れてある。見慣れた匂いがあるだけで、犬の落ち着き方がまるで違う。

持ち物はできるだけ使い慣れたものを揃えておくことが大切で、慣れない環境に加えて新しいグッズに愛犬が戸惑ってしまうこともある。
だから私は、ドライブ専用に新しいクッションを買うのをやめた。以前、「ペットアウトドアブランド・ノルドポウ」の新作マットを張り切って購入したのに、アルクが一切乗ろうとしなかった苦い記憶がある。結局いつもの古びた毛布の上でしか眠らないのだから、犬というのは正直な生き物だ。

犬は人間以上に揺れや振動に敏感なので、できるだけ急発進・急ブレーキはしないように気をつけることが重要だ。特に山道はカーブが多くなるので、できるだけゆっくり走ってあげるのがいい。
九州への道中には中国山地を越えるルートがある。あのくねくねとした山道で、アルクが静かにうずくまっているのを見ると、こちらも自然とハンドルを握る手に力が入る。

もうひとつ忘れてはならないのが、夏場の車内温度だ。ハスキー犬はもともと寒冷地の犬種。八月の炎天下で車を離れるときは、たとえ五分でも窓を開けたままにするか、エアコンをつけたままにするかの判断が必要になる。
出発前に愛犬の体調が悪いようなら少し様子を見てあげることも大切で、焦らずしっかり犬の様子を確認して、落ち着いたら出発するのがよい。
体調管理は出発前だけでなく、走行中もずっと続く。

正午を過ぎた頃、山陽道のサービスエリアに立ち寄った。木陰のベンチに腰を下ろして水を飲ませていると、アルクが私の膝に頭をのせてきた。重い。でも温かい。その重さと、鼻先から漂う少しだけ草の匂いがする毛の感触が、長い移動の疲れをふっと和らげてくれた。

ハスキー犬との遠距離移動は、確かに手間がかかる。でもその手間の一つひとつが、一緒に旅をしているという実感になる。クレートの中でうとうとしながらも、私が振り返るたびに薄目を開けて確認してくるアルクの顔が、今日もいちばんの助手席だと思っている。
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