いい天気の朝、ハスキーと歩いた道のことを、たぶんずっと忘れない。

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四月の朝というのは、少し油断できない。昨日まで肌寒かったのに、今日はもうコートが要らないくらいの陽気で、空の青さがやけに鮮明だった。そういう、いい天気の日に限って、ノアは玄関でじっとこちらを見ている。「まだ?」と言わんばかりに。

ノアというのは、うちのシベリアンハスキー犬だ。グレーとホワイトの被毛に、左右で色の違うオッドアイ。三歳になった今も、散歩の前の興奮だけは子犬のころと変わらない。リードを手に取った瞬間、全身でよろこびを表現する。しっぽが回り、足がもつれ、玄関マットをめくってしまう。そのたびに心の中で「また…」とつぶやくのだが、顔はたぶん笑っている。

シベリアンハスキーは、かつて極寒のシベリアでそり犬として何十キロもの距離を走ってきた歴史を持つ犬種で、1日あたり約1〜2時間、約8〜10kmの散歩が理想とされている。
それを知ってから、わたしの朝は変わった。目覚ましより早く起きるようになり、コーヒーを飲む前に靴を履くようになった。

外に出ると、空気がやわらかく頬に触れた。四月の光はまだ斜めで、アスファルトに長い影を落としていた。近くの桜はもうほとんど散っていたけれど、花びらがいくつか風に乗って舞い、ノアの背中にひとひら落ちた。彼は気にしないで歩き続けた。

散歩コースは、いつも「青葉台通り」から始まる。架空の地名みたいな名前だけど、本当にそういう名前の道がある。住宅街を抜けると小さな公園があって、朝のうちは人もまばらで、ノアが思いきり鼻を動かせる場所だ。今朝はどこかの家から焼きたてのパンのにおいがして、ノアが立ち止まってそちらを向いた。わたしも思わず深呼吸した。いいにおいだった。

ハスキーは「運動量の多さ」で飼い主が悩むことも少なくなく、十分な運動や精神的な刺激を与えないとストレスや問題行動につながるケースもある。
だから散歩はただの義務ではなく、ノアにとっての呼吸のようなものだとわたしは思っている。足を動かし、においを嗅ぎ、風を感じる。それがあってはじめて、彼は「今日」を生きる。

公園のベンチに、見慣れたおじいさんが座っていた。毎朝ここで新聞を読んでいる人で、ノアのことをとても気に入っている。「今日もいい天気じゃな」と声をかけてくれた。ノアはすぐに駆け寄って、おじいさんの膝に頭を乗せた。おじいさんは新聞を閉じ、しわだらけの手でゆっくりとノアの耳の後ろをかいた。ノアは目を細めた。

子どものころ、わたしは犬が少し怖かった。大きな犬に吠えられて泣いたことがある。だから自分がハスキー犬を飼うことになるとは、あの頃は想像もしていなかった。でも今、リードの先でたのしそうに歩くノアを見ていると、あの記憶がずいぶん遠くなったような気がする。

シベリアンハスキーはオオカミのような見た目で怖いと感じる人もいるかもしれないが、実際は明るく天真爛漫な性格で、攻撃性も低い。
それはノアを見ていれば、すぐにわかる。すれ違う人に尻尾を振り、小さな子どもに顔をなめ、地面のにおいに夢中になって急に立ち止まる。

帰り道、ノアのペースが少しゆっくりになった。たっぷり歩いて、満足したのだろう。わたしも足が少し重かった。ふたりして、同じくらい疲れていた。

家に戻ると、玄関でノアが水を飲んだ。ごくごくという音が静かな朝の家に響いた。飲み終えて、こちらを一度だけ見た。それだけだった。何も言わないけれど、何かが伝わった気がした。

今日もいい天気だった。散歩に行けてよかった、とわたしは思った。それは、たぶんノアも同じだったと思う。
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