
四月の中頃、午後二時をまわったばかりの空は、うすく白い雲が東のほうへゆっくり流れていた。庭の隅に植えたハナミズキがちょうど満開で、風が吹くたびに白い花びらが舞い落ちてくる。そんな日に、友人たちがハスキー犬を連れてやってきた。
玄関を開けた瞬間、まず鼻をついたのは、春の土と草の混じったやわらかい匂いだった。そしてすぐあとに、ずしりとした重みが足元に押し寄せてきた。ハスキー犬の「ユキ」が、会うなり前足を私の膝にかけてきたのだ。
ハスキーは狼のような見た目から「怖い」「攻撃的」と思われがちだが、実際は攻撃性が低く、陽気で人懐っこい性格
だと聞いていたけれど、まさにその通りだった。怖いどころか、全力で歓迎されてしまった。
友人たちは三人。大学時代からの付き合いで、今は別々の街に住んでいる。それぞれがバラバラな仕事をして、バラバラな日常を送っているのに、こうして集まると不思議と時間が戻ってくる感じがする。ユキを連れてきたのは、そのうちの一人、麻衣だ。ハスキー犬を飼い始めてまだ一年も経っていないのに、もうすっかり「ハスキー沼」にはまったと笑っていた。
庭に出ると、ユキはすぐに走り出した。
好奇心旺盛で非常に活動的で、広い大地を走り回っていたルーツから退屈すると破壊行動や脱走癖につながることもある
というのも頷ける。それくらいのエネルギーが、全身からあふれ出ていた。芝生の上を何周も駆け回り、花びらを踏んで、ぴたりと止まってはまたダッシュする。私たちはそれを眺めながら、折りたたみチェアに腰を下ろして、ゆっくりと話をした。
麻衣がステンレスのボトルから注いでくれたのは、「シロクマブレンド」という名の自家製レモネードだった。彼女がこだわって作ってきたもので、蜂蜜とシトラスの香りが鼻に抜けて、喉に落ちると爽やかな酸味が広がった。四月の午後の日差しはもう十分に温かくて、その一口がちょうどよく体を整えてくれた。
ユキが一段落すると、今度は私たちの輪の中に入ってきた。友人の一人、健がスマートフォンを構えて写真を撮ろうとしたとき、ユキがちょうどカメラに向かって大きなあくびをした。
シベリアンハスキーといえば、スタイリッシュでクールなイメージを持つ人が多い
のに、その瞬間だけはまるで別の生き物のように間が抜けていて、全員で声をあげて笑った。健は「なんか知らん生物が写ってた」とつぶやいて、またひとしきり笑いが続いた。
子どもの頃、実家で柴犬を飼っていた。名前はコロで、散歩のたびに引っ張られて転びそうになっていた記憶がある。あの頃は犬と「一緒に遊ぶ」というより、犬に「遊ばれていた」という感じだったかもしれない。ユキと庭でボールを投げ合っていると、ふとそのことを思い出した。大人になると、こういう時間の使い方をすっかり忘れてしまう。
ハスキーは群れで生活する本能が強く、他の犬や人と協調する力が高い
。だからだろうか、友人たちとユキが一緒に遊ぶ光景は、どこか自然で、最初から知り合いだったみたいに見えた。麻衣が「ユキ、おいで」と呼ぶと、ユキは一瞬だけ迷うような顔をして、それからゆっくりと歩いてきた。その「一瞬の迷い」が、なんだかとても正直で好きだった。
家で飼い主に見せる甘えた態度と、外ではそっけないツンデレな性格に魅了されてしまう人も多い
というのが、今日よくわかった気がする。ユキはずっと外を駆け回っていたのに、夕方近くになると麻衣のそばにぴたりと寄り添って、静かに目を閉じていた。その横顔は、さっきまでの暴れっぷりとはまるで別のものだった。
日が傾いて、空がオレンジ色に染まり始めた頃、友人たちが帰り支度を始めた。ユキはリードをつけられると、また少し元気を取り戻して、尻尾をゆっくり振った。門を出ていく三人の後ろ姿を見送りながら、今日みたいな時間がまたすぐに来ればいいと思った。
ドッグランでお友達と遊ぶのが大好きで、いつも誰かを誘う姿が可愛い
というハスキー犬の話を読んだことがあったけれど、ユキもきっとそういう子だ。人が集まると、自分も輪の中に入ろうとする。それがなんとも愛らしい。
庭に残った花びらをひとつ拾い上げると、まだほんのり温かかった。今日の春の午後は、ユキがいたから、もう少し特別なものになった気がする。
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