
四月の終わり、夕暮れ時の窓から差し込む光がリビングの床を橙色に染めていた。そのとき初めて、うちにやってきたハスキー犬の仔が、ぺたりとフローリングに腹をつけて、こちらをじっと見上げてきた。その目の色は、薄いブルーグレーで、まるで曇り空を切り取ったようだった。
正直に言えば、あのとき私はまったく準備ができていなかった。子どもの頃、実家で飼っていた柴犬の「コタロウ」のことを思い出しながら、「まあ犬だし、なんとかなるだろう」と高をくくっていた。それが大きな間違いの始まりだったと気づくのに、さほど時間はかからなかった。
ハスキーは単なる美しい犬ではない。極寒の地シベリアでそり犬として活躍してきた歴史を持ち、そのルーツからくる特徴を深く理解しないまま飼育を始めると、「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことも少なくない。
まず、そこから話を始めなければならないと思う。
ハスキー犬との暮らしで最初に驚かされるのは、そのエネルギーの量だ。
毎日2時間以上の散歩や遊びが必要で、十分な運動や精神的な刺激を与えないとストレスや問題行動につながるケースがある。
朝、まだ空が白みはじめた頃、玄関のドアを開けるとひんやりした外気が頬をなでる。リードを手に取る音だけで、彼はもう全身をぶるぶると震わせて待っている。その重みと熱が、手のひら越しに伝わってくる。
寒さに強い反面、暑さには非常に弱く、熱中症になりやすい犬種だ。気温が高い日中の散歩は避け、早朝や夜間の涼しい時間帯に行うのがよい。
夏場はとくに気をつけること。アスファルトの照り返しは想像以上に強く、肉球への負担も侮れない。
食事についても、気をつけることが多い。
ハスキーは極寒の地でも耐えられるように皮下脂肪を蓄えやすい体質をしているため、肥満には注意が必要で、脂質は12%前後のフードがちょうど良いバランスといえる。
動物性タンパク質の充実した食事を摂ることが大切で、動物性原料の割合が全体の半分以上に使われているドッグフードを目安にすると良い。
あるとき、近所のペットショップ「ノルディカ」でスタッフに相談したら、「ハスキーさんは食いしん坊に見えて、実はデリケートなお腹を持つ子が多いんですよ」と教えてもらった。帰り道、手提げ袋を両手に抱えて歩きながら、隣を歩くハスキーがそのビニール袋をじっと見つめていたのは言うまでもない(あれは確実に中身を狙っていた)。
食べ物でいっぱいになった胃が拡張しねじれてしまう胃拡張・胃捻転は、食べすぎや食後の運動が原因となることがある。
食後すぐの激しい運動は避けること。これは意外と見落とされがちな、でも大切な気をつけることのひとつだ。
性格の話もしておきたい。
狼のような見た目から「怖い」「攻撃的」と思われがちだが、実際は攻撃性が低く、陽気で人懐っこい性格だ。いたずら好きな一面や、独自の表現で感情を伝える姿が「あほかわいい」と評されることもある。
これは本当にそのとおりで、うちの子は私が読書をしていると、鼻先でページをめくろうとしてくる。邪魔なのか、甘えたいのか、今でもよくわからない。
とても頭が良い犬種なので、同じ訓練を繰り返していると飽きてしまうこともある。しつけのコツは、この性格を理解して「一緒に協力しよう」という気持ちで接することだ。
命令ではなく、対話。それがハスキーとうまくやっていくための根本にあると思う。
ハスキーの毛はダブルコートのため、毎日の手入れが飼い主にとって重要なルーティンとなる。
換毛期には、ブラッシングをするたびに、まるで別の犬が一匹生まれたかのような量の毛が出てくる。白と灰色が混じったその毛は、窓から差す朝の光を受けると、ふわりと宙に舞う。それが少し、美しかったりもする。
ハスキーのために飼い主たちに必要なのは「時間・お金・愛情」だ。
これは決して大げさな言葉ではない。一緒に暮らすということは、その子の一生を引き受けるということだから。あの四月の夕暮れに、床に腹をつけて私を見上げた眼差しを、今でも思い出す。あのブルーグレーの瞳には、問いかけるような静けさがあった。
あなたは、ちゃんとそばにいてくれるか、と。
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