
五月の朝は、光の入り方がすこし違う。カーテン越しにやわらかく差し込む朝の光が、フローリングの上に細長い影をつくっていた。その影の端っこに、大きな毛の塊がぴったりと丸まっている。わたしたちの家にやってきたハスキー犬の「ソル」だ。
最初は正直、不安だった。
「中型から大型犬を育てるのは初めて」「ハスキーはしつけが難しいって聞くけど、本当に大丈夫かな」という不安も一緒についてくるものだ。
子どもの頃、近所の家の柴犬に吠えられて以来、大型犬には少し身構えてしまう癖がついていた。だから夫がソルを連れてきた日、わたしは玄関で少しだけ後ずさりしてしまった——というのは、今となっては笑い話だけれど。
野性味を感じる容姿とは裏腹に、甘えん坊で人懐っこい性格の子が多く、家族と一緒に過ごせる室内飼いが向いている犬種だ。
それを知ったのは、ソルが来てから三日後のこと。夫がリビングのソファに腰を下ろした瞬間、ソルがぱたぱたとやってきて、膝の上に頭をのせた。体格のわりに、なんとも遠慮がちな乗せ方で。夫は苦笑いしながらも、そのままソルの耳の後ろをゆっくりと撫でていた。
シベリアンハスキーは、人にも他犬にもフレンドリーであり、そり犬の歴史に培われた社会性の高い性格だ。小さな子どもにも優しい性格のため、すぐに家族の一員として馴染めることだろう。
うちの娘、四歳の莉子(りこ)は最初の週から「ソルちゃん、ソルちゃん」と追いかけ回していた。ソルはそのたびに逃げるわけでも吠えるわけでもなく、ただゆったりと立ち止まって、小さな手が届くのを待っていた。あの穏やかな後ろ姿は、今でも目に焼きついている。
叱らなくても、肩に手を置くと「なに?」という感じで穏やかに振り向いてくれる。どうやら興奮しているわけではないのだ。
そういう気質が、ハスキーという犬には根っこから備わっているらしい。ソルも同じで、莉子が絵本を読み聞かせようとして、ぺたんと隣に座るたびに、耳をぴくりと動かして聞いているふうだった。聞いているのかいないのか、それはわからないけれど。
朝の散歩は、近くの「ヒノモリ緑道」を歩くことが多い。五月の今頃は、新緑の香りが濃くて、踏みしめた土の感触がやわらかい。ソルは鼻をひくつかせながら、草むらの匂いをひとつひとつ確かめるように歩く。リードを引く力は強くて、最初のうちはわたしの手首が痛くなることもあった。
シベリアンハスキーはそり犬だったため、運動欲求が強くスタミナがある。エネルギーが充分に消費されないとストレスをためてしまうことがあるので、毎日、朝晩一時間程度の散歩を欠かさないようにしたい。
それでも、ソルが満足そうに尻尾を揺らしながら帰ってくる姿を見ると、疲れよりも満足感のほうが勝る。
シベリアンハスキーはその狼のような見た目から「怖い」「攻撃的」と思われがちだ。しかし、実際は攻撃性が低く、陽気で人懐っこい性格で、家族や子どもとも仲良くできる温厚な気質を持っている。
散歩中に出会う近所の人たちも、最初は少し身構えるのに、ソルが尻尾をふりふりしながら近づいていくと、みんな表情がほどけていく。「あら、おとなしいのね」と言いながら撫でてくれるおばあさんがいる。ソルはそのたびに目を細めて、うっとりした顔をする。
愛犬の凄いところは、「家族全員が愛すべき対象を家の中で持つ」というところだと思う。家族全員が共通のものを愛しているって、なかなかないことだ。
夫と莉子とわたし、三人がばらばらな方向を向いていても、「ソルがいるから」という一点で、いつも同じ場所に戻ってこられる気がしている。夕飯のあと、莉子がソルの背中にもたれかかってうとうとしはじめる。ソルはそのまま動かない。家族、という言葉の重みを、この犬はちゃんと知っているのかもしれない。
ハスキーとの暮らしは、確かに他の犬種と比べて工夫や配慮が必要な部分もある。しかし、しっかりと知識を身につけ、家族で協力すれば決して不可能ではない。大切なのは、ハスキーという犬種の特徴を理解し、その子に合った接し方や環境を用意してあげることだ。
これからハスキーを迎えようか迷っているあなたに、わたしは言いたい。あの五月の朝、光の中で丸まっていたソルの姿を見て、「この子でよかった」と思った瞬間のことを。ハスキー犬は、きっとあなたの家族の一員になる準備が、最初からできている。
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