ハスキーと暮らすということ――青い瞳の相棒に、気をつけたいこと全部

育てる

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五月の朝はまだ少し肌寒くて、窓から差し込む光が床に細長い影を落としていた。その光の中に、ルカがいた。グレーと白の毛並みが朝の逆光に透けて、まるで息をしている雪のかたまりみたいに見えた。ハスキー犬との暮らしというのは、たぶんこういう景色から始まる。見惚れて、それから少し途方に暮れる。

シベリアンハスキーは、
極寒の地シベリアでそり犬として活躍してきた歴史を持ち、そのルーツからくる特徴を深く理解しないまま飼育を始めると、後悔してしまうことも少なくない
犬種だ。かっこいい、かわいい、SNSで見てひと目惚れした、という気持ちはよくわかる。でも、その先に何があるかを知っておくことが、ともに暮らす上での出発点になる。

まず運動の話をしなければならない。
ハスキーは毎日1〜2時間の運動が必要で、独立心が強く頑固な一面もある
。夕暮れどきに公園を歩いていると、ハスキーを連れた人がほぼ必ずいるのはそういう理由だ。運動が足りないと、家の中で何かが犠牲になる。クッションだったり、玄関マットだったり、まれに飼い主の大切な本だったりする。

食事については、
主食には総合栄養食を与えるのが基本で、ハスキーは食欲旺盛なため一気食いしてしまうことも多い。一気食いをすると空気を大量に飲み込むことがあるので、一気食い防止用の食器を活用してもよい
。ルカも最初の頃、ご飯を置いた瞬間に音もなく消えていた。まばたきする間もなく皿が空になっていて、思わず「食べた?」と話しかけてしまったのを覚えている。フードは
タンパク質が豊富なものがおすすめで、ハスキーは元々狩猟犬や犬ぞりの牽引犬として活躍していた犬種なので、運動量も多くしっかりとした身体つきをしている
。ペットショップ「ノルディカ」のスタッフに相談したとき、「皮膚や被毛の健康を意識したフードを選ぶといい」とアドバイスをもらってから、フード選びへの向き合い方が変わった。

暑さへの注意は、気をつけることの中でも特に重要だ。
寒冷地での生活が主だったため、暑さに弱く熱中症になりやすいという点も留意しなければならない。特に夏場の散歩は早朝や夕方に行い、常に新鮮な水を用意することが重要
だ。梅雨前の五月でも、日差しが強い日中に外へ出るのは避けたほうがいい。アスファルトの熱は想像以上に地面に近いところに伝わる。ハスキーの肉球は、見た目より繊細だ。

しつけについては、
賢く自己主張も強いので、一度でもルールがぶれると「やっていい」と学習してしまう。家族全員で一貫性を持つことが大切
だ。ルカに「ソファに乗らない」というルールを作ったとき、私は守ったが、同居人が「一回くらいなら」と許してしまった。翌朝、ソファの上で堂々と丸まっているルカと目が合った。あの顔に、悪気は一切なかった。

ハスキーは少しの隙間からでも脱走しようとする習性があり、散歩中はハーネスや首輪のダブルリードを徹底し、万が一リードが外れても大丈夫なように備えることが必要
だ。好奇心の強さは魅力でもあるが、外の世界への引力がとにかく強い。フェンスの隙間、少し開いたドア、ほんの一瞬の油断。そういう場所をハスキーはちゃんと覚えている。

それでも、夜に一緒にソファに座って(ルールは結局うやむやになった)、彼が静かに呼吸する温度と重さを感じているとき、何かが満たされる感覚がある。
見た目の力強さとは対照的に、ハスキーはとても繊細で感情豊かな犬種で、家族の気持ちを敏感に察知し、悲しんでいる時にはそっと寄り添ってくれたりする
。子どもの頃、実家で飼っていた柴犬も、似たような目をしていた。何も言わなくても、わかっているような顔をする犬というのは、いつの時代も同じだ。

ハスキー犬と暮らすことは、手間がかかる。食事も、運動も、気をつけることも多い。でも、その分だけ、毎日に重さが生まれる。朝の光の中で毛並みが光るあの瞬間、散歩から帰った後のぬるい体温、ふっと鼻を鳴らして寄ってくる仕草。そういうものが積み重なって、いつの間にか生活の中心になっている。
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