
ハスキー犬と一緒に散歩をすると、毎朝の景色がまったく違って見えてくる。それは大げさでもなんでもなく、本当のことだ。
うちのハスキー、シロは生後8ヶ月のオスで、シルバーアンドホワイトの被毛を持つ。オオカミのような顔立ちなのに、性格はどこまでも陽気でフレンドリー。
ワイルドな顔立ちなのに陽気でフレンドリーで遊び好き、というギャップがハスキーの魅力
だと、飼い主仲間からもよく言われる。そのギャップに最初は戸惑ったけれど、今ではそれが愛おしくてたまらない。
結論から言う。ハスキー犬との散歩を「楽しく」続けるためには、いくつかのコツがある。そしてそのコツを知ってからというもの、シロとの朝の時間は、わたしにとって一日のなかでいちばん好きな時間になった。
今年の七月に入って最初の朝、午前五時四十分。まだ空気が柔らかくて、アスファルトに夜露が残っていた。近所の「青葉台緑地公園」を抜ける道は、この時間だけ光が斜めに差し込んで、草の匂いが濃くなる。シロはリードをぐっと引きながら、鼻をひくひくさせていた。その小さな鼻の動きをじっと見ていると、世界をこんなに全身で受け取れる生き物が、なぜか羨ましくなる。
シベリアンハスキーは大型犬の中でも特に運動が必要な犬種で、1日あたり1〜2時間の散歩、距離にして8〜10km程度が理想的な目安だ。朝夕2回に分けて、それぞれ30分〜1時間ずつ歩かせることで、エネルギーをしっかり発散できる。
これを知ったとき、正直「そんなに?」と思った。でも実際にやってみると、散歩を欠かした日のシロの落ち着きのなさが目に見えてわかるから、今では習慣として体に染みついている。
散歩のコツとして最初に意識してほしいのが、時間帯の選び方だ。
シベリアンハスキーは暑さに弱いため、夏場は涼しい時間帯に散歩をすることが重要だ。
夏の日中に連れ出そうとした日があって、シロがアスファルトの上でぺたりと座り込んでしまったことがある。引っ張っても動かない。あの重さと言ったら——大型犬の「嫌だ」は全身で語られる。内心「これは詰んだ」と思いながら、結局おやつで釣ってなんとか帰宅した(これは散歩のコツではなく、完全な失敗談である)。
次に大切なのが、リードの扱いと歩き方の基本だ。
散歩中にリードを引っ張られたら、一度立ち止まって、歩くペースを合わせるようにしつけることが大切だ。好奇心旺盛なハスキーは後ろを振り返らず、ひたすらに走っていく。
シロも最初はそうだった。前だけを見て、ぐいぐいと引く。リードが張り詰めるたびに立ち止まる、を繰り返すうちに、少しずつ横に並んで歩けるようになってきた。焦らないこと。これが一番のコツかもしれない。
シベリアンハスキーは気分屋な一面があるので、毎回同じルートでは飽きてしまうことがある。ルートや距離は自由にさせてあげると喜ぶ。飼い主が散歩に連れていくというよりは、迷子にならないよう付き添っているという感覚だ。
この感覚、すごくよくわかる。シロが立ち止まって匂いを嗅ぎ始めたとき、わたしも一緒に止まって空を見上げる。そういう小さな「余白」が、散歩をただの運動じゃなくして くれる。
子どもの頃、近所に柴犬を飼っているおじいさんがいて、毎朝同じ時間に同じ道を歩いているのを見ていた。当時は「なんで毎日同じことするんだろう」と不思議だったけれど、今になってようやくわかる。同じ道でも、毎日少しずつ違う。光の角度、風の温度、犬の気分。そのわずかな違いを感じながら歩くことが、たぶん「散歩の本当の楽しさ」なのだ。
ハスキーを迎えた家庭の約8割が「家族や他のペットともすぐに打ち解けた」と回答しており、多頭飼いや子どものいる家庭にも適しているという結果が出ている。
それだけ社交的な犬種だからこそ、散歩中に出会う人や犬との交流も自然と生まれる。シロが道行く人に尻尾を振るたびに、見知らぬ人が笑顔になる。それがまた、こちらの気持ちも温かくする。
ハスキー犬との散歩は、確かに体力がいる。時間もかかる。でも、そのぶん返ってくるものも大きい。青葉台緑地公園の入り口にある大きなケヤキの木の下で、シロが満足そうに水を飲む姿を見るたびに、「今日もよかった」と思う。朝の空気の冷たさが手のひらに残っていて、リードの感触がまだそこにある。そういう朝が、積み重なっていく。それだけで、十分すぎるくらいだ。
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