ハスキーと暮らすということ――青い瞳の相棒に、気をつけたいこと

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九月の朝はまだ少し蒸し暑い。窓を開けると、ほんのわずかに秋の気配を含んだ風が入ってきて、カーテンの裾がゆっくりと揺れた。その風に乗るように、リビングの隅から低くやわらかな鳴き声が聞こえてくる。ハスキー犬の「ルーク」が、目を細めながらこちらを見上げていた。

シベリアンハスキーを家族に迎えるとき、多くの人がまず見惚れるのは、あの澄んだ青い瞳だろう。子どもの頃、図鑑で初めてその写真を見たとき、「これは犬じゃなくて、狼の親戚だ」と本気で思った記憶がある。実際、その力強い体つきと原始的な美しさには、今でもどこか息を呑む瞬間がある。けれど、ともに暮らしてみてわかることは、見た目の印象とはずいぶん違う、甘えん坊な一面だ。

ハスキーは群れで生活してきた歴史を持つぶん、非常に寂しがり屋で、姿が見えなくなるだけで鳴き始めることがある。
留守番が長くなると、それはもう相当なストレスになる。だから、一緒に暮らすうえで最初に覚悟しておきたいのは、「この子には、自分の時間が必要だ」ということだ。

食事の管理も、思っていた以上に奥が深い。
ハスキーは1日に1〜2時間の運動が必要とされる、エネルギー消費量の多い犬種で、動物性タンパク質をしっかり摂取できるフードが基本となる。
粗タンパク質25〜30%以上を目安にフードを選ぶとよいとされているが、同時に脂質の取りすぎにも注意が必要だ。
避妊や去勢後は代謝が下がって体重が増加しやすくなるため、高タンパク・中〜低脂肪のレシピを意識することが大切になってくる。

わが家では、国内の自然派フードブランド「ノルディカ・ドッグテーブル」のサーモンベースのフードを試したことがある。最初の一口、ルークは鼻をぴくりと動かして、ゆっくりとお皿に顔を近づけた。そして三秒ほど静止したあと、ものすごい勢いで食べ始めた。あれほど食欲旺盛な姿を見たのは初めてで、思わず笑ってしまった。ちなみに翌日、同じフードを出したらそっぽを向かれた。ハスキーとはそういう生き物なのかもしれない。

健康面でも、気をつけることはいくつかある。
特に暑さへの弱さは深刻で、夏場の散歩は早朝や夕方に行い、常に新鮮な水を用意することが重要だ。
寒冷地で生まれた犬種だからこそ、日本の夏は本当に過酷な環境になる。アスファルトの照り返しと湿気の中を歩かせるのは、想像以上に体への負担が大きい。夕暮れ時、オレンジ色に染まった空の下、ルークの白い被毛がほんのり金色に輝く時間帯に散歩するのが、いまでは一番好きな習慣になっている。

目の病気や股関節の問題も、ハスキーが注意すべき健康リスクとして知られており、早い場合は1歳になる前に発症するケースもある。
定期的な動物病院でのチェックを怠らないこと、そして日々の様子をよく観察することが、長く一緒にいるための基本になる。

しつけについては、
シベリアンハスキーはとても賢く学習能力が高い一方、好奇心旺盛でトレーニング中に気が散りやすいため、できるだけ短時間で、集中力が続くうちに終わらせることが効果的だ。
叱るより、遊びの中にルールを組み込む感覚のほうが、お互いにとってずっとうまくいく。

ハスキー犬との暮らしは、決して楽ではない。でも、夜、ソファの隣でうとうとしながらも、こちらが立ち上がるたびにぱっと目を開けて確認してくる、あの仕草を見るたびに、なんだか胸の奥がじんわりと温かくなる。気をつけることは多い。それでも、この青い瞳の相棒と過ごす日々は、思っていた以上に豊かで、静かで、かけがえのないものだ。
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