ハスキーが来た日、庭がぜんぶ変わった話――友人たちと一緒に遊んだ五月の午後

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五月のはじめ、午前十時ごろの空はまだどこか朝の青みを残していた。庭の端に植えたアカシアが白い花を揺らして、風が通るたびにほんのり甘い香りが漂ってくる。そういう日に、友人たちがハスキー犬を連れてやってきた。

玄関を開けた瞬間、すでに状況は制御不能だった。

先頭を走り込んできたのは、友人・田辺が飼っているシベリアンハスキーの「ノルド」。体重二十五キロ、二歳の雄。ドアをくぐるなり一直線に庭へ駆け出し、芝生の上を三周ほど猛スピードで回ったあと、満足げにこちらを振り返った。
野性味を感じる容姿とは裏腹に、甘えん坊で人懐っこい
というのは本当で、ひとしきり走ったあとはすぐに人の輪の中に戻ってくる。尻尾が高く揺れていた。

友人たちは三人。田辺のほかに、長野から来た美咲と、近所に住む純平。それぞれ手に何かを持って現れた。美咲はクーラーボックス、純平はボールとロープのおもちゃ。田辺はリードを握りながら「こいつ、朝から興奮してて」と苦笑いしていた。

人にも他犬にもフレンドリーで、そり犬の歴史に培われた社会性の高い性格
を持つハスキーは、こういう賑やかな集まりにとことん向いている。ノルドはすぐに全員の顔を覚え、純平が投げたボールを追いかけ、美咲の膝に頭を乗せ、わたしのスニーカーのにおいを丁寧に確認してから、また庭を走り出した。

一緒に遊ぶというのは、こんなにも単純で、こんなにも豊かなことだったか、と思う。子どもの頃、実家の近くの空き地で近所の犬と走り回っていた記憶がある。犬の名前はもう思い出せないけれど、夕方の光の色と、土のにおいと、足の裏が草でくすぐったかったことだけはまだ残っている。あの感覚に、今日の午後は少し似ていた。

昼過ぎ、美咲がクーラーボックスから缶を取り出してみんなに配った。「ナチュラルフォレスト」という架空のブランドのクラフトレモネードで、炭酸が弱めで甘さ控えめ、飲み口がすっきりしている。芝生の上に並んで腰を下ろして、それぞれ缶を傾けた。ノルドはその輪の中心にどっかりと座り、ふうっと息を吐いた。まるで自分が主催者であるかのように。

純平がロープのおもちゃを引っ張ると、ノルドは低い唸り声を出しながら本気で引き返す。引っ張り合いをしながら純平が「強い、強い」と笑って、ロープを놓したとたんにノルドがよろけて転がった。一瞬の静寂のあと、全員が吹き出した。ノルドは何事もなかったような顔で立ち上がり、もう一度ロープをくわえた。

運動量が多い犬種のため、ドッグランなどで体を動かす時間を多くとってあげる必要がある
とよく言われるが、広い庭があれば十分だということも今日わかった。ノルドは三時間近く走り続け、それでもまだ余力がありそうだった。田辺が「家ではこんなに動かないんだよ」と言っていたから、やはり友人たちの存在と、広い空間と、複数の人間が同時に相手をしてくれるこの状況が特別なのかもしれない。

夕方近く、空の色がオレンジに変わりはじめたころ、ノルドはようやく芝生の上に伏せた。毛の白い部分が夕光を受けて柔らかく光り、その横に美咲が静かに座って背中を撫でていた。さっきまであんなに走り回っていた体が、今は穏やかに上下しているだけ。

ハスキー犬と一緒に遊ぶ日というのは、気づけば自分も全力で動いている。笑って、走って、芝生に転がって。友人たちとこんなふうに過ごすのが久しぶりだったことに、帰り際になってようやく気がついた。ノルドがいなければ、たぶんわたしたちはテーブルを囲んでおしゃべりをするだけだったと思う。

ハスキーは、場の空気を変える。それだけは確かだ。
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