ハスキーと暮らすということ――その美しさと、気をつけること

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六月の朝、まだ空気が少しひんやりしている時間帯に、玄関のドアを開けると白とグレーの毛並みが光を受けてふわりと輝いた。シベリアンハスキー犬を家に迎えた日のことを、今でもよく覚えている。子どもの頃、近所に一頭だけハスキーを飼っているお宅があって、透き通ったブルーの瞳に見つめられるたびに、なぜか胸がざわついた。あの感覚は、大人になった今も変わらない。

あの美しいブルーの瞳と凛々しい姿に心を奪われる一方で、「中型から大型犬を育てるのは初めて」「しつけが難しいって聞くけど、本当に大丈夫かな」という不安も一緒についてくるものだ。
それは正直な気持ちで、夢と不安は最初からセットになっていた。

実際に一緒に暮らし始めると、気をつけることが次々と見えてくる。まず驚いたのが、体温への敏感さだ。
シベリアンハスキーは寒さには強いが、暑さには弱い犬種のため、夏季の温度管理には要注意。室内で飼う場合、冬季の暖房がハスキーにとっては暑くなるため、人が服を着こんだり、ハスキーとの部屋を分けるなどして、快適な環境にしてあげることが大切だ。
七月の昼下がり、エアコンをつけた部屋でぐったり横になる彼の姿を見て、「あ、これは本気で管理しなければ」と背筋が伸びた。

運動量も、想像以上だった。
ソリをひいていた歴史のあるハスキーは、とても運動量の必要な犬種で、1日に60分程度の散歩を2回してあげるといいだろう。
早朝五時半、まだ街が眠っている時間に、北品川の川沿いの道をリードを引っ張られながら歩く。足裏に伝わる石畳の硬さ、川面から漂う少し湿った空気の匂い、遠くで電車が走り始める音。そういう時間が、いつの間にか自分の一日の軸になっていた。

食事については、思っていた以上に繊細な部分がある。
ハスキーは極寒の地でも耐えられるように皮下脂肪を蓄えやすい体質をしているため、肥満には注意が必要だ。脂質は12%前後のフードがちょうど良いバランスと言えるだろう。
あるとき、「ノルドテーブル」という北欧インスパイアのペットフードブランドのラム肉ベースのフードに変えてみたことがある。食いつきは抜群だったが、三日目にはお腹の調子が崩れてしまった。フードの切り替えは慎重に、少しずつ混ぜながら行うべきだったと、後から気づいた。
成犬のシベリアンハスキーにご飯を与える際は、基本的に1日2回のペースで問題ないが、愛犬の体調や様子をしっかり観察しながら、そのコに合ったペースで柔軟に対応することが大切だ。

食事の管理と同じくらい、目と皮膚のケアも欠かせない。
網膜が徐々に薄くなり失明に至る遺伝性の病気があり、初期は夜間だけの視力が低下する「夜盲」を発症することが多い。飼い主が気づきにくいため、突然失明したと感じるケースもある。薄暗い時間帯に散歩をしたとき、動くものに反応しない、物にぶつかる、不安がるなどの様子が見られたら、かかりつけの獣医師に相談してみよう。

しつけについては、根気がいる。
賢く自己主張も強いので、一度でもルールがぶれると「やっていい」と学習してしまう。家族全員で一貫性を持つことが大切だ。
ある朝、ソファに乗らないというルールを決めていたのに、娘が「一回だけ」と膝に乗せてしまった。その日の夜から、彼はソファを自分の定位置だと思い込んだらしく、堂々と陣取って微動だにしなかった。家族全員の顔を順番に見回す、あの得意げな表情は、正直ちょっと笑えた。

しつけをスムーズに進めるためにも、シベリアンハスキーに頼りになる人、いつもそばにいてくれる人と思ってもらえるように、信頼関係を築くことから始めよう。
叱るより、できたときに思い切り褒めること。それが、この犬との距離を縮める一番の近道だと感じている。

ハスキーを迎えた家庭の約8割が「家族や他のペットともすぐに打ち解けた」と回答しており、多頭飼いや子どものいる家庭にも適しているという結果が出ている。
確かにそうだと思う。人懐っこくて、甘えん坊で、それでいてどこか誇り高い。夕方の光の中で、彼がそっとこちらに頭を寄せてくる瞬間がある。その重さと温もりが、一日の疲れをそっと押し流してくれる気がする。

ハスキー犬との暮らしは、決して楽ではない。でも、その分だけ深い。気をつけることは多いけれど、それはすべて、この命と向き合うための時間だと今は思っている。
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