ハスキーと歩く朝の魔法|散歩が10倍楽しくなるコツ、教えます

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空が白みはじめた早朝、玄関のドアを開けた瞬間、ひんやりした六月の空気がふわりと頬をなでた。リードを手にした私の隣で、シロはもうすでに全身でよろこびを表現していた。シベリアンハスキー特有の、あの「今すぐ走り出したい」という衝動が、しっぽの振れ方ひとつにも滲み出ている。

ハスキー犬との散歩は、ただの運動じゃない。これは毎朝くり返される、小さな冒険だ。

シベリアンハスキーは体を動かすことを喜び、散歩やドッグランで走り回るのが大好きな犬種だ。毎日の散歩が運動とストレス発散の場にもなる。
だからこそ、散歩のコツを知っているかどうかで、飼い主にとっても犬にとっても、その時間の質がまるで変わってくる。

まず大切なのは、「引っ張り」への対処だ。ハスキーはもともとそり犬として活躍してきた歴史を持つ。前へ前へ進む本能が、DNAに刻まれている。だから散歩中に引っ張るのは、決して「わがまま」じゃない。ただの本能だ。対処のコツは、引っ張られた瞬間に立ち止まること。進めないとわかれば、犬はリードを緩める。そのタイミングで一歩踏み出す。これを根気よく続けることで、少しずつ「飼い主のペースで歩く」という感覚を覚えさせることができる。

散歩は気分転換になり、飼い主さんとの主従関係を築くきっかけにもなる。また、疲れさせることでイタズラを防ぐことができる。

それから、散歩のルートにも工夫が必要かもしれない。毎日同じ道を歩くのは人間にとっては楽だけれど、ハスキーにとっては刺激が少ない。週に数回、「ノーズワーク散歩」を取り入れてみよう。これは犬が自由に匂いを嗅ぐことを優先した散歩スタイルで、精神的な疲労を与えるのに非常に効果的だ。距離より「質」を意識するのが、上手な散歩のコツのひとつ。

うちの近所に「ミドリパーク通り」という、並木道が続く遊歩道がある。朝の光が葉の隙間から差し込んで、地面に模様をつくる、あの道。シロはいつもそこで立ち止まり、鼻をひくひくさせながら空気を読み取っている。その横顔を見るたびに、犬は世界を目ではなく鼻で見ているのだと実感する。

思えば子どもの頃、実家で飼っていた雑種犬の「ポチ」を連れて近所を歩いたとき、私はリードをうまく持てなくて、犬に引きずられながら泥だらけになって帰ってきたことがあった。母に「散歩させてもらってるのはあなたの方ね」と笑われた記憶がある。あれから何十年も経って、今もまた同じように引っ張られているのだから、人間はなかなか学ばない生き物だ。

厳しい寒波の中でも散歩に行きたくてたまらないハスキーが独特の鳴き声で訴えかける姿が話題になるほど、
ハスキーにとって散歩への情熱は本物だ。その熱量に応えてあげることが、飼い主としての誠意でもある。

現在では日本人の犬の飼育技術が向上し、ハスキーのような犬種でもしっかりとトレーニングをこなし、住環境を整えられるようになったことで、ハスキーの人気が再び高まっている。
そんな時代だからこそ、散歩の「質」にこだわる飼い主が増えているのは、自然な流れだろう。

散歩の終わりごろ、シロはいつも決まって足元にすり寄ってくる。ぐったりしているわけでも、甘えているわけでもなく、ただ「今日もよかったね」とでも言うように、静かに体を預けてくる。ふわりと温かいその感触が、朝の一番の報酬だ。

ハスキー犬との散歩は、コツさえ知ればただ疲れるだけの時間ではなくなる。引っ張り対策、ルートの工夫、匂い嗅ぎの時間の確保。そのどれもが、犬との信頼関係を少しずつ積み上げていく作業だ。そして気がつけば、散歩に出かけるのが待ち遠しくなっている。それはきっと、犬だけじゃなく、あなた自身も同じはずだ。
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