
梅雨の蒸し暑い夕暮れどき、ふと立ち寄ったペットショップのガラス越しに、アイスブルーの瞳がこちらをじっと見つめていた。思わず足が止まった。それがわたしとハスキー犬の、最初の出会いだった。
オオカミのような精悍な顔立ちながら、性格は友好的で従順なところが魅力のシベリアン・ハスキー。
そのギャップに、一瞬で心を持っていかれた人は、きっとわたしだけではないはずだ。
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ハスキー犬とはどんな犬なのか、と聞かれたら、まず「北の大地で生まれた、働き者」と答えたい。
1925年、アラスカのノーム市でジフテリアが大流行した際に、ハスキー犬チームが氷点下50度にもなる酷寒の中、544kmもの距離をリレーしながら血清を輸送して多くの人命を救った。
その話を初めて知ったのは、小学校の図書室で手に取った一冊の動物図鑑だった。ページをめくるたびに、白と黒の毛並みが雪原に映える写真が目に焼きついた。子どもながら「この犬は、ただかわいいだけじゃない」と思ったのを、今でも妙に覚えている。
特徴は?と聞かれると、語ることが多すぎて困る。まず目を引くのが、あの透き通るような瞳だ。ブルー、ブラウン、そして左右で色が違うオッドアイまで存在する。被毛はダブルコートで、触れるとふかふかと温かく、まるで高級なファーブランケットに手を沈めるような感触がある。
体高50〜60cm・体重20〜27kgと大型で、春秋の換毛期には大量の抜け毛が発生し、毎日のブラッシングや季節ごとの温度管理も重要だ。
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シベリアンハスキーは、人にも他犬にもフレンドリーであり、そり犬の歴史に培われた社会性の高い性格を持つ。小さな子どもにも優しい性格のため、すぐに家族の一員として馴染める。
これは、ただ「おとなしい」ということではない。むしろエネルギーはとても旺盛で、遊ぶときは全力で遊ぶ。知人のハスキー犬・アルクは、散歩に出るたびにリードをぐいぐい引っ張り、飼い主の方が先に息を切らす。ある朝、飼い主が「ちょっと待って」と言いながらスニーカーの紐を結び直していたら、アルクがその隙に顔をぺろりと舐め上げた。眼鏡がずれた飼い主は、しばらく虚空を見つめていた――あの場面は、なぜかずっと忘れられない。
頭が良い分、同じトレーニングを繰り返すとすぐに飽きてしまう。短時間でテンポよく、内容にバリエーションをつけることがポイントだ。
賢さと頑固さは表裏一体で、しつけには根気と愛情が必要になる。
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ハスキー犬を迎えるうえで、気候との向き合い方は避けて通れない話題だ。
シベリアンハスキーは極寒のシベリア原産の犬であり、日本の夏は彼らにとって過酷な環境になりうる。
だからこそ、夏場の室内管理はとくに重要で、エアコンの効いた涼しい空間を整えてあげることが欠かせない。架空のインテリアブランド「ノルドハウス」が提案するような、通気性の高いペット用マットや冷感素材のベッドを活用する飼い主も増えている。
1日2〜3時間の運動を欠かせない犬種
でもあるため、朝夕の散歩はもちろん、広い公園での自由な走りが彼らの心身を豊かにする。夕暮れの公園で、橙色の光の中を全力疾走するハスキーの姿は、見ているこちらまで何か大切なものを思い出させてくれる。
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やんちゃなハスキーの子犬との暮らしは手探りの連続。しかし2年後には、愛犬も飼い主も大きく成長する。
最初は戸惑いだらけでも、時間をかけて築いていく信頼関係の重みは、どんな犬種とも少し違う気がする。
十分な運動とポジティブなしつけを心がければ、ハスキーは頼もしくて楽しい最高のパートナーになってくれる。
その言葉は、決して誇張ではない。あの青い瞳が、夕暮れの光の中でこちらを見上げるとき、なんとも言えない充足感が胸に広がる。ハスキー犬とは、どんな犬か。それはきっと、一度一緒に暮らしてみた人にしか、本当にはわからないのかもしれない。
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