ハスキー犬と過ごす夏の午後——友人たちと一緒に遊ぶ、あの特別な時間のこと

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玄関のチャイムが鳴ったのは、午後2時をすこし過ぎたころだった。扉を開けると、友人のサクラが真夏の光の中に立っていて、その隣に、大きな白と灰色の塊がいた。ハスキー犬のロキだ。青みがかった瞳がこちらをまっすぐ見て、それから何かを確かめるように鼻をひくひくさせた。

「来たよ」とサクラは笑い、ロキはすでに玄関の中に半身を乗り入れていた。招かれてもいないのに、ためらいもなく。

ハスキーというのは、イケメンな見た目とは裏腹に、甘えん坊で人懐っこいのだという。
ロキはまさにそのとおりで、初対面の私の手のひらに鼻先を押し付け、しっぽをゆっくり振りながら、まるで「よろしく」とでも言うように目を細めた。

友人たちは三人で来た。サクラ、ミナ、そしてケンジ。ロキを囲むように庭のウッドデッキに腰を下ろして、それぞれがアイスコーヒーのグラスを持ちながら、ゆるやかに話し始めた。デッキの木の温度が手のひらに伝わってくる。夏の熱をたっぷり吸い込んだ木の感触は、少しだけ痛いくらいだった。

ロキは庭を一周してから、日陰を見つけてそこに寝転がった。
「もう暑い?早くも日陰に避難するうちのワンコ」
という言葉をどこかで読んだことを思い出して、思わず笑ってしまった。ハスキー犬が夏に日陰を好むのは、北方の血が今もしっかり流れているからだろう。

子どものころ、近所に大型犬を飼っているおじさんがいて、よく一緒に遊ばせてもらっていた。犬の毛の匂い、土の匂い、夏草のにおいが混ざり合ったあの感覚を、ロキの毛並みに触れたとき、ふいに思い出した。モフモフとしていて、でも奥の方はひんやりとしている。不思議な手触りだった。

シベリアンハスキーはもともとそり犬だったため、運動欲求が強くスタミナがある。
そのせいか、ロキは日陰でひと休みしたかと思うと、またむくっと立ち上がって庭を走り回り始めた。友人たちと一緒に遊ぶとき、ロキはとにかく全力だ。ボールを投げれば猛ダッシュで追いかけ、ケンジが手を叩けばすぐに駆け寄る。ミナが低い声で「おすわり」と言うと、ちゃんと座った。ただ、その後すぐに立ち上がって、ミナの顔を舐めたけれど。

ミナが笑いながら「もう!」と言って、手の甲で口元を拭う。その仕草がなんとなく可愛くて、サクラとケンジも笑っていた。ロキだけが、何が面白いのかわからないという顔で、しっぽをぱたぱたと振っていた。

午後3時を過ぎると、日差しが少しだけ傾いてきた。デッキの影が伸びて、庭の芝生の上に細長い縞模様を作る。風が一瞬だけ吹いて、近所の金木犀がまだ早いのに香りの片鱗を漂わせた気がした——いや、気のせいかもしれない。でも確かに、空気が少しだけ変わった。

サクラがアイスコーヒーのグラスを私に差し出しながら、「ロキ、最近すごく落ち着いてきたんだよね」と言った。グラスを受け取るとき、指先が少し触れた。冷たかった。

散歩をしていると、つい気になってしまう犬に出会うことがある
、とよく言われるが、ロキはまさにそういう犬だ。街を歩けば視線を集め、子どもたちが寄ってきて、老人が立ち止まる。
その真っ白な毛並みと、ぽつんと存在するだけで絵になる佇まい
は、どこにいても目を引く。

夕暮れが近づくころ、私たちはデッキで「ノルディカブレンド」という架空の北欧風コーヒーブランドの豆で淹れたホットコーヒーに切り替えた。ミナが持参してきたもので、少しスモーキーな香りがした。ロキはその香りに反応したのか、鼻をぴくぴくさせながらミナの足元に寄ってきた。

「コーヒー、好きなの?」とミナが笑いながら言った。ロキは答えずに、ただ大きな目でじっと見ていた。

友人たちと一緒に遊ぶ時間は、いつもあっという間に過ぎていく。話すことが特別でなくても、笑うことが大したことでなくても、ハスキー犬が一頭いるだけで、その場の空気はやわらかくなる。ロキはその日の夕方、帰り際にもう一度だけ私の手に鼻先を押し当てた。

また来るよ、と言っているみたいだった。
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