ハスキー犬と過ごす夏の午後——友人たちと一緒に遊ぶ、特別じゃない特別な一日

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八月の終わりの午後というのは、どこか独特の空気をまとっている。夏が名残を惜しむように、まだ強い陽射しを地面に叩きつけながら、それでもどこかに秋の気配がひそんでいる。そんな日の昼すぎ、友人たちが一頭のハスキー犬を連れてうちへやってきた。

名前はルカ。
頼りがいのある容姿と愛らしい性格のギャップ
がハスキー犬の魅力だとよく言われるけれど、ルカはまさにそれを体現していた。玄関のドアを開けた瞬間、ふわりと獣の温もりとでも言うべき匂いが鼻をかすめて、それから大きな前足が私の膝に乗っかってきた。重い。思ったより、ずっと重い。

目の色や頭部の模様は個体によってさまざまで、一頭一頭の個性が光る
というのも本当で、ルカの瞳は右が琥珀色、左がうっすらと青みがかったグレーだった。オッドアイというやつだ。その目でじっとこちらを見上げてくるものだから、つい見つめ返してしまう。

友人たちと一緒に遊ぶ時間は、いつもより少しだけ騒がしくなる。リビングのローテーブルには、近所の「アオゾラ雑貨」で買ってきた麦茶のボトルと、誰かが持ってきたゼリーが並んでいた。話題はあちこちに飛んで、気づけば犬の飼い方の話になっていた。
ハスキーはとにかくスタミナがあるので、飼い主が先にへばってしまうこともある
、と友人のひとりが苦笑いしながら言った。ルカを実際に連れてきた彼女は、毎朝六時に起きて公園を走っているらしい。犬のために。

縁側に出てみると、庭の芝生の上でルカが何かを嗅ぎ回っていた。鼻をぴったりと地面につけて、くんくんと動き回る様子は、どこか真剣で、どこかおかしい。子どもの頃、実家の近くの空き地で野良犬がまったく同じことをしているのを見て、なぜかひどく感動した記憶がある。犬というのは、地面の中に物語を読んでいるのだと、そのとき思った。

風が一瞬だけ吹いて、ルカの長い被毛がさらりと揺れた。触ってみると、表面はかたく、内側はびっくりするほど柔らかい。二層になっているのだと後で教えてもらった。
もともと極寒の地でそり犬として人間の生活を支えてきた
犬種だから、あの毛並みは伊達じゃない。それにしても、この残暑の中でよく平気だなと思う。ルカは暑さなど気にも留めない顔で、縁側の日陰にどっかりと座り込んだ。

午後三時をまわったころ、友人のひとりが麦茶のグラスを私に差し出しながら、「ハスキーって最近また人気出てきてるらしいよ」と言った。確かに、SNSでもよく見かけるようになった気がする。
シベリアンハスキーというキーワードは、犬好きなら一度は検索したことがあるほどの人気ワード
になっているという。あの独特の顔立ちと、どこか人間くさい表情が、写真映えするのかもしれない。

そのとき、ルカが突然立ち上がって、縁側から部屋の中へ戻ってきた。そして誰のものでもない場所——ちょうどテーブルの真下——にゆっくりと横になり、大きなため息をひとつついた。まるで「人間たちの話し合いは終わったか」とでも言いたげな、堂々たる態度だった。思わず全員が笑った。

ほかの人や犬に対して友好的で、愛情を注ぎ信頼関係を築ければ
、ハスキー犬はこんなにも自然に場に溶け込んでくるものなのだと、今日初めて実感した。友人たちと一緒に遊ぶ時間の中に、ルカはいつの間にか当たり前のように存在していた。特別なことは何もしていない。ただそこにいるだけで、場の空気がやわらかくなる。

日が少し傾き始めて、庭の影が長くなった。ルカはまた縁側に出て、遠くを見ている。その横顔は、確かに少しだけ狼に似ていた。でも、その耳がぴくりと動いて、こちらを振り返ったときの顔は、どう見ても甘えん坊のそれだった。

夏の終わりの午後。友人たちの笑い声と、ルカの爪が床を叩く小さな音。麦茶の冷たさが手のひらに残っている。こういう時間のことを、たぶんずっと覚えていると思う。
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