ハスキー犬と過ごす秋の午後——友人たちと笑い転げた、とびきり特別な一日

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十月に入ったばかりの午後、空気がほんのすこしだけ変わった気がした。夏の熱気がようやく遠のいて、窓を開けると金木犀のかすかな香りが漂ってくる。そんな日に、友人たちがハスキー犬を連れて遊びに来た。

玄関のドアを開けた瞬間、まず飛び込んできたのは、その存在感だった。名前はユキ。ブラック&ホワイトの毛並みに、吸い込まれるような青い瞳。
見た目はワイルドでクールなのに、実はとても人懐っこく甘えん坊
という話を友人から聞いていたけれど、それは本当だった。玄関に入るなり、ユキは私の足元に体をすり寄せてきて、大きな鼻をスニーカーに押しつけてくんくんと匂いを嗅いだ。冷たくてやわらかい鼻先の感触が、靴越しにも伝わってくる。

友人の麻衣が「ごめんね、この子いつもこうで」と苦笑しながらリードを引いた。でも私は全然嫌じゃなかった。むしろ、なんだか懐かしい感じがした。子どもの頃、実家で飼っていた雑種の犬が、同じように足元をうろうろしていたことを思い出したから。あの犬もこんなふうに、来客のたびに大騒ぎしていた。

リビングに通すと、ユキはすぐにカーペットの上に寝転がった。
毎日思い切りいっしょに遊んで信頼関係を築くことで、よきパートナーとなってくれる
という言葉が頭をよぎる。麻衣とユキの間には、確かにそういう空気が流れていた。麻衣がソファに座ると、ユキはすかさず隣に頭を乗せて目を細める。その仕草が、あまりにも自然で、あまりにも穏やかで、思わず見とれてしまった。

友人たちと一緒に遊ぶのは久しぶりだった。もう一人の友人、健太が持参したボールをリビングで転がすと、ユキは一瞬だけ目で追い——そして、完全に無視した。ボールよりも、健太の膝の上のスマートフォンのほうが気になるらしい。健太が「え、遊ばないの?」と首をかしげる横で、ユキはスマホの画面をじっと見つめていた。なんとも言えない、微妙な空気(これが「賢そうに見えて、ちょっぴりおバカ」という評判の正体かもしれない、と心の中でそっとツッコんだ)。

午後の光が傾いてくると、私たちは庭に出た。十月初旬の日差しはまだ温かいけれど、風はもう秋のものだ。乾いた草の匂いと、どこかから漂う焼き芋の香りが混ざり合う、あの独特の季節の匂い。ユキはリードを外すと、一気に庭を駆け回った。大きな体が地面を蹴るたびに、ぱたぱたと土の音がする。
並外れた運動量を必要とする犬種
だとは聞いていたけれど、こうして目の当たりにすると、その言葉の意味がよくわかる。走るというより、飛ぶ、という感じに近い。

麻衣が庭の隅に置いてあったフリスビーを拾い上げた。「ユキ、取っておいで!」と声をかけながら投げる。ユキはまっすぐに走り出し、ジャンプして、見事にキャッチした。友人たちと一緒に遊ぶ時間は、こんなにも豊かだったのかと、改めて気づかされる瞬間だった。笑い声が庭に広がって、秋の空気の中に溶けていった。

日が傾きはじめた頃、私はキッチンで温かい飲み物を用意した。今日のために買っておいた「ノルドブレンド」というハーブティー——北欧の植物をブレンドした、少しスモーキーで甘みのある香りのもの。マグカップを友人たちに渡しながら、なんとなくユキのことを考えていた。

現在では、日本人の犬の飼育技術が向上し、ハスキーのような犬種でもしっかりとトレーニングをこなし、住環境を整えられるようになったことで、ハスキーの人気が再び高まっている。
そのことが、今日の午後を見ていると、なんとなく実感できる。麻衣がユキに向ける眼差しは、まるで家族に向けるそれと同じだった。

夕暮れが近づくにつれて、ユキはようやく落ち着き、私の足元でうとうとし始めた。大きな体がゆっくりと呼吸するたびに、毛並みがかすかに揺れる。その温もりが足元から伝わってきて、なんだか胸の奥がじんわりした。友人たちの笑い声、金木犀の香り、秋の光、そしてユキのやわらかい存在感——全部ひっくるめて、この一日は特別だったと思う。また来てね、と玄関先で見送りながら、私はそう思っていた。きっと、ユキもそう思っていたはずだ。たぶん。
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