ハスキーがいる、穏やかな朝のこと。家族になるということ。

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朝の光が、カーテンの隙間からリビングの床に細く落ちていた。九月に入ったばかりで、まだ空気には夏の名残がある。でも、窓を少し開けると、ほんのわずかだけ違う温度の風が入ってくる。あの、季節が変わりかけているときにしか存在しない、あいまいで柔らかい空気。

そのなかに、ルカがいた。

ルカというのは、うちのシベリアンハスキー犬だ。グレーと白が混ざった毛並みで、目はアイスブルー。はじめて会ったとき、わたしは少し怖いと思った。正直に言うと、かなり怖かった。オオカミみたいな顔をしているし、体も大きい。ハスキー犬を飼うと決めるまで、何ヶ月も悩んだ。子どもがいるし、大型犬なんて扱えるのかと。

でも、あれは杞憂だったと今は思う。

ハスキーは、クールな見た目とは裏腹に、陽気で甘えん坊な性格を持っている。
ルカも例外ではなく、家に来た最初の週から、娘の隣にぴったりとくっついて離れなかった。娘はまだ四歳で、ルカの背中に顔を埋めてはケラケラ笑っていた。その光景を見て、夫と顔を見合わせて、なんとなく安心した。言葉にはしなかったけれど、「ああ、大丈夫だ」という空気が、ふたりのあいだに静かに流れた。

シベリアンハスキーは、家族以外の人や犬に対しても積極的に交流しようとする、友好的な犬だ。
散歩に行くと、ご近所の方がルカに声をかけてくれる。最初は「大きいね」と言いながら少し遠巻きにしていた人も、ルカが尻尾を振って近づいていくうちに、気づけば頭を撫でている。人懐こいというのは、こういうことなのだと思う。自分から壁を作らない。ただ、そこにいる。

わたしが子どもの頃、犬を飼ったことがあった。雑種の小さな犬で、名前はコロだった。コロはどちらかというと臆病で、知らない人が来ると小屋の奥に引っ込んでしまうような子だった。だから、ルカみたいに堂々と人のそばへ寄っていく姿は、最初は少し不思議に見えた。でも今では、それがルカらしさだとわかっている。

ある夕方のこと。娘がソファでうとうとしていて、ルカがその隣に静かに横たわっていた。娘の小さな手が、夢の中でもルカの毛をつかんでいた。ルカは動かなかった。ただ、目だけがゆっくりとこちらを見た。あの目の色は、夕暮れの光の中でいつもより少し濃く見える。

そういえば、先月「ノルディカホーム」というインテリアショップで買った、ウールのブランケットをソファに置いていたのだが、翌朝にはルカがそのうえで丸まって寝ていた。わたしは一瞬「あ」と思ったけれど、怒れなかった。あまりにも気持ちよさそうで、しかも娘のブランケットを選んだあたりに、なんとなく意図を感じてしまったから。(これはわたしの完全な思い込みだと思う。でも、ハスキーを飼うと、こういう思い込みが増える。)

シベリアンハスキーは見た目に反して性格は優しくて友好的で、飼い主に対して愛情深い、素晴らしいパートナーになってくれる犬種だ。
それは、日々の小さな場面でじわじわと伝わってくる。朝、わたしがコーヒーを淹れている音を聞きつけて、ルカがキッチンに来る。豆を挽く低い音と、ほんのり漂う香りに引き寄せられるように。そして、わたしの足元に座って、ただじっとしている。何かを要求しているわけでもなく、ただそこにいたいだけ、という感じで。

飼い主の後ろをついて歩く行動は、愛情と信頼の強さを示している。
ルカはよく、わたしの後ろをついてくる。洗面所へ行けばついてくる。庭に出ればついてくる。最初は「大きい影がいる」と少し驚いていたが、今では当たり前になった。家族というのは、そういうふうに当たり前になっていくものだと思う。

ハスキー犬を飼うことを迷っている人に、わたしが伝えられることはひとつだけある。怖くない、ということだ。見た目の迫力とは関係なく、ルカは穏やかで、子どもにも優しく、知らない人にも心を開く。
大人しくて優しい、人懐っこいというのが、シベリアンハスキーの性格を語るうえで欠かせない言葉だ。

九月の朝、カーテン越しの光の中で、ルカはまだ眠っている。娘はもうすぐ起きてくる。夫はコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。何でもない、穏やかな朝。でも、この景色のなかにルカがいることで、家族という言葉の輪郭が、少しだけはっきりする気がしている。
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