
ハスキー犬との散歩は、飼い主の人生をじわりと変える。これは、大げさな話ではなく、毎朝リードを握るたびに実感することだ。
シベリアンハスキーは体を動かすことを喜び、散歩やドッグランで走り回るのが大好きな犬種で、毎日の散歩が運動とストレス発散の場にもなる。
だから、散歩を怠ると部屋の中で暴れたり、夜中に遠吠えを始めたりする。それはハスキーが「悪い子」なのではなく、ただエネルギーが余っているだけの話だ。
うちのハスキー、ルカ(3歳・オス、ブラック&ホワイト)と初めて散歩に出た朝のことは今でも覚えている。6月の早朝、まだ空気がひんやりとしていて、アスファルトの上にうっすら朝露が光っていた。近所の「ミドリ坂公園通り」を歩きながら、ルカは鼻をぐいぐいと地面に押しつけて、何かを嗅ぎ続けていた。その鼻息の音が、妙に大きくて笑ってしまった。
**ハスキーとの散歩がうまくいかない理由は、たいてい「コツ」を知らないことにある。**
シベリアンハスキーは力が強く、引っ張り癖がついてしまうと散歩が大変になる。そのため、子犬の時期からトレーニングをおこなうのが重要で、リーダーウォークという歩き方を取り入れることもある。
最初のうち、ルカにリードを引っ張られるたびに私は前のめりになって、一度など盛大にコケた。膝に泥がついたまま立ち上がったら、ルカが振り返ってしっぽをぶんぶん振っていた。あの表情は明らかに「なにやってんの?」という顔だった——と、飼い主としては思いたくないが、正直そう見えた。
引っ張り癖への対処は、実はシンプルだ。
散歩中にリードを引っ張られたら、一度立ち止まって、歩くペースを合わせるようにしつけることが大切。
これを根気よく繰り返すだけで、数週間後にはルカは私の左側をすっと歩くようになった。焦らずに、毎日少しずつ。それがハスキー犬との散歩で一番大切なコツだと思う。
時間帯も重要だ。
シベリアンハスキーは暑さに弱いため、夏場は涼しい時間帯に散歩をするのが適切。
梅雨が明けると、私たちは必ず朝6時台に家を出るようにしている。その時間の空気は草の青い香りがして、ルカの白い被毛が朝日を受けてほんのり金色に輝く。リードを持つ手に伝わる体温と引力が、なんだか心地よい。
ハスキーはもともと犬ぞりの犬種として膨大な運動量が必要で、最低でも60分、毎日2回の長距離・長時間の散歩が理想的。スタミナがあるので、飼い主が先にへばってしまうこともある。
これは本当の話で、ルカと1時間歩いた後、私のほうがぐったりしてベンチに座り込んだことがある。そのとき、ルカは私の足元に顎を乗せてうとうとしかけていた。あの重さと温かさが、なんとも言えず幸せだった。
ハスキーの魅力はギャップ萌えで、オオカミのようなワイルドな顔立ちなのに、陽気でフレンドリーで遊び好き。散歩ですれ違う人や犬にしょっちゅう「遊ぼ!」と誘いかける。
実際、ルカと歩いていると見知らぬ人から声をかけられることが多い。「かっこいいですね」「触ってもいいですか?」と。そのたびに、ルカは尻尾を全力で振る。散歩は、ただの運動ではなく、社会とつながる時間でもある。
子どもの頃、実家で飼っていた雑種の犬と毎朝歩いた道を思い出す。あの頃は「散歩のコツ」なんて何も考えていなかった。ただ一緒に走って、転んで、笑っていた。ハスキー犬との散歩も、突き詰めれば同じことかもしれない。技術より先に、「一緒にいたい」という気持ちがある。
ルートや距離は自由にさせてあげると喜ぶ。飼い主が散歩に連れていくというよりは、迷子にならないよう付き添っているという感覚に近い。
その言葉が、今の私の散歩スタイルにぴったり合っている。ルカの行きたい方向に、少しだけ従いながら歩く。それが一番、二人とも楽しい。
ハスキー犬との散歩は、慣れるまでは大変だ。でも、コツをつかんだ先にある朝の空気と、あの温かい体温は、何ものにも代えがたい。今日も6時に、ルカがリードを咥えて私の膝をつついてくる。それが合図だ。
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