**ハスキーがいる、穏やかな朝のこと。家族になるってこういうことだと思った。**

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朝の七時ごろ、台所から漂ってくるトーストの焦げた匂いで目が覚めた。夫がまた焼きすぎたのだ。寝室のドアの隙間から、もわっとした温かい空気が流れ込んでくる。それと一緒に、ぱたぱたという足音も。

ソラが来た。

うちのシベリアンハスキー犬、ソラは生後十四ヶ月になる。グレーとホワイトのまだら模様で、左目だけがうっすら青い。朝は必ずわたしより先に起きていて、全員の顔を確認してから自分の場所に戻る、という謎のルーティンがある。今日もベッドのわたしの顔をじっと見つめてから、満足したように廊下へ消えた。

シベリアンハスキーは見た目の力強さとは裏腹に、性格は優しくて友好的だ。
飼う前、わたしはずっとそれが信じられなかった。オオカミみたいな顔で、あんなに大きくて、本当に穏やかでいられるのだろうかと。でも今は確信している。ソラはどう見ても、この家で一番人懐こい生き物だ。

娘の結衣は四歳で、ソラのことを「おにいちゃん」と呼ぶ。朝ごはんのあと、ふたりはリビングの日当たりのいい場所に並んで座る。結衣がアニメを見て、ソラがその隣でうとうとする。娘が笑うたびにソラの耳がぴくっと動く。その繰り返しが、わたしはなぜかとても好きだ。

ハスキーは家族に対して非常に愛情深く、甘えん坊な一面を持っていて、初対面の人や他の犬にも友好的で、社交性が高い犬種だ。
先月、近所の公園で知らない男の子に突然抱きつかれたとき、ソラは動じるどころか尻尾を振りながらその子の顔を舐めた。お母さんのほうが驚いていた。

ハスキーを飼うことを決めたとき、正直なところ不安のほうが大きかった。大型犬だし、手がかかると聞いていたし、子どもがまだ小さかったから。でも夫が「一緒に育てよう」と言って、それがなぜかすごく腑に落ちた。家族って、最初から完成しているものじゃないんだと思う。ソラが来てから、この家はそれを少しずつ証明してくれている。

シベリアンハスキーは家族以外の人や犬に対しても積極的に交流しようとする友好的な犬で、飼い主やその家族には慣れてくれて、頼もしい存在となってくれる。
それを知ってはいたけれど、実際に暮らしてみると、その頼もしさは予想とは少し違う形で現れた。威張るわけでも、守るわけでもない。ただそこにいてくれる、という安心感。

夕方になると、ソラはわたしの足元に来てごろんと横になる。フローリングの冷たさが気持ちいいのか、ぺたっと腹をつけて伸びる。その毛のふさふさした感触が、手のひらに柔らかく伝わってくる。北欧発のインテリアブランド「フィエルドホーム」のラグを去年買ったのだが、今やソラの定位置になってしまって、人間が使える面積はほぼない。

夜、結衣が眠ったあと、夫とふたりでソファに座っていると、ソラがわたしたちの間に割り込んでくる。大きな体で、ぐいぐいと。夫がコーヒーのマグカップをわたしに渡しながら苦笑いする。「また来た」と言いながら、でもちゃんとソラの頭を撫でている。

シベリアンハスキーは警戒心が低く、人に対する警戒や威嚇行動は少なめで、あくまでパートナーとしての関係を築く犬種だ。
番犬にはならないかもしれないけれど、そんなことはどうでもいい。ソラはわたしたちの家族で、それ以上でも以下でもない。

ハスキー犬を迎えることを考えている人に、伝えたいことがある。怖くないよ、ということ。穏やかな時間が、ちゃんとそこにある。子どもと一緒に育てることも、決して無謀じゃない。毎朝、焦げたトーストの匂いの中で、ソラが全員の顔を確認しに来るこの家は、なんとなく今日もうまくいく気がしている。
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