ハスキーがいる、穏やかな朝のこと。家族になるって、こういうことだと思った。

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七月の朝は、まだ六時台でも光がやわらかくない。リビングのカーテン越しに差し込む夏の日差しは、もうじゅうぶんに白くて、眩しい。その光の中に、シロが寝ていた。

シロというのは、うちのハスキー犬だ。グレーとホワイトのまだら模様で、左目がブルー、右目がうすいブラウン。
左右の色が異なるオッドアイを持つ子もいる
というのは知っていたけれど、実際に目の前で見ると、毎朝なんだか不思議な気持ちになる。

わたしが初めてハスキーを飼うことを考えたのは、二年ほど前のことだ。正直に言うと、最初はかなり迷った。
あの美しいブルーの瞳と凛々しい姿に心を奪われる一方で、しつけが難しいって聞くけど本当に大丈夫かな、という不安も一緒についてくるものだった。
子どもがまだ小さかったから、なおさら。

でも、今は思う。あのとき踏み出してよかった、と。

シロが家に来た日、三歳の娘は「おおきいね」と言いながら、おそるおそる手を伸ばした。シロはその小さな手を、ゆっくりと鼻先で嗅いで、それからぺろりと舐めた。娘が笑い声をあげて、夫がスマホを取り出して、わたしはなぜか泣きそうになった。そういう最初の瞬間というのは、案外ちゃんと覚えているものだ。

シベリアンハスキーはその狼のような見た目から「怖い」「攻撃的」と思われがちだが、実際は攻撃性が低く、陽気で人懐っこい性格だ。家族や子どもとも仲良くできる温厚な気質を持っている。
それはまさにシロそのものだった。

うちでは「ノルドヴェイ」というスカンジナビア風のインテリアブランドで揃えた木製の家具を使っているのだが、シロはその中でいちばん大きなソファの端を、まるで自分の指定席のように使っている。夕方になると決まってそこに移動して、娘の帰宅を待つ。玄関のドアが開く音がするたびに耳がぴくりと動いて、尻尾がゆっくりと揺れはじめる。その一連の動作が、毎日見ていても飽きない。

ハスキーは非常に社交的で、家族や友人と一緒に過ごす時間を楽しむほか、他の犬やペットとも仲良くできることが多い。初めて会う人や犬にもフレンドリーに接するため、社交的な環境に適している。
だから、娘の友だちが遊びに来たときも、シロはいつも穏やかだ。子どもたちが騒いでも、引っ張っても、怒ったりしない。ただ、ときどき「ふう」という感じで床に寝そべって、目を細める。その表情が、なんとなく大人みたいで好きだ。

性格は陽気でおおらかで楽天的。家族や他のペットとも友好的で、初対面でも心を許してしまう。

ひとつだけ、笑える話がある。先日、夫がシロにおやつをあげようとして、ポケットから袋を取り出した瞬間、シロがあまりにも素早く立ち上がったせいで、夫が後ろに一歩よろけた。「危なかった」と言いながら苦笑いしている夫の横で、シロはもう完全におすわりして、尻尾をぱたぱたさせていた。待てを覚えているのに、気持ちだけが先走ってしまうらしい。

家族に対しても深い愛情を見せてくれる。
それは確かで、だからこそ毎日が少しだけ賑やかで、温かい。

朝の散歩から戻ってくると、シロの被毛はうっすら湿っていて、夏草の青い匂いがする。娘がタオルを持ってきて、一生懸命に拭こうとするのだが、シロのほうが大きいので、どちらかというと娘が押されている。それでもシロはじっとしている。されるがままに、穏やかに。

ハスキー犬を飼うことを迷っている人に、わたしが言えることはひとつだけだ。
人懐っこく甘えん坊な一面を持ち、初対面の人や他の犬にも友好的で、社交性が高い犬種だ。
その事実は、一緒に暮らしてみると、毎日のあちこちで実感できる。

家族というのは、血のつながりだけじゃないのかもしれない。同じ朝を迎えて、同じ光の中にいて、互いの気配を知っている。そういうことの積み重ねが、家族をつくっていく。シロがいるこの家は、なんとなくそう思わせてくれる場所になった。
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